んで、結局この苦し紛れの2枚重ね、という方法が実は、これが後で大活躍することになる。
なお、拡大観察用の望遠鏡は口径70mm、F5.6(f=400mm)の短焦点サブスコープ。観察方法は投影法。これだと目を傷める心配もないし、ケータイでも太陽の写真が撮影できるとあって、わりと便利に観察できるはず…
写真は日食開始直後の最初の1枚。写っている機材はビクセンのガイドシステムに口径70mm、F5.6の望遠鏡を取り付けたもの。そして比較対象のグランドだ。撮影機材は以下の通り。
9時50分09秒 OLYMPUS E-330 14-42mm F3.5-5.6:19mm F5.6 1/400秒 ISO100
10時00分31秒。1/500秒 明るさ比=125% まだ明るさはほとんど変わらない。むしろ明るくなったぐらいだ。 | 実はこの頃から太陽が見え始めたのだが、いくらうす雲を通してといえども、まぶしいときは直視できないぐらいになる。このときに、実は2枚重ねとしていた溶接用ガラスが役に立った。2枚重ねのままや、市販の日食グラスでは減光度合いが大きすぎてうす雲越しには全く見えないのだが、2枚一組にしてあった溶接ガラスの#8をバラバラにし、1枚で使うと、丁度良い減光度合いになったのだ。これは怪我の功名だったが、相当に便利に、かつ安全に使えた。 |
10時10分16秒。1/500秒 明るさ比=125% 太陽は少し欠けてきたのだが、明るさの数値はぜんぜん変わらないが、比べてみると少し暗い。 |
雲間からようやく顔を出した太陽。うす雲を通して肉眼で確認できた。 |
10時24分45秒。1/320秒 明るさ比=80% 見た目ではかなり欠けてきた太陽。明るさも急に変化が始まった。 |
厚い雲の隙間を縫って、ほんの時々しか顔を見せてくれない太陽。でも確実に欠けてきていた。 |
10時30分50秒。1/320秒 明るさ比=80% みるみる太陽が欠けていくのが分かる。明るさの変化は微妙。 |
どんどん細くなってきて、三日月のような形に近づいてきた。雲が薄い部分はまぶしいぐらいだ。 |
10時47分00秒。1/125秒 明るさ比=31% 太陽に見とれていると明るさの測定を忘れてしまう。急激に暗くなってきた。 |
厚い雲の隙間が増えて、かなり見えるようになってきた。三日月のように細くなっている |
10時51分05秒。1/80秒 明るさ比=20% 食の最大10分前。急激に暗くなった。辺りが薄暗くなったのがはっきり分かる。 |
ここまでの写真は一眼レフカメラで撮影しているが、この写真は高倍率コンパクトデジカメ、TZ7での撮影。倍率は高いが、ピントや露出合わせが至難の業で、なかなか思ったようには撮影できない。 |
11時01分15秒。1/100秒 明るさ比=25% 食の最大。10分前と数字上は明るさは変わらず。ただし画像上は暗さが増している。風が涼しくなった。 |
雲の薄い部分では、望遠鏡を通して投影撮影できるようになった。食の最大なので、相当に細くなっているのが分かる。この画像を携帯やコンパクトカメラで簡単に撮影できた。 |
部分日食とは言え、85%まで欠けると食分最大のインパクトはそれなりにあった。皆既日食があった悪石島とかは暴風雨にみまわれたというから、こちら四国はまだ太陽が見えた分だけマシだったのかもしれない。普通に生活していただけなら、「何か少し涼しくなったか?」と思っただけかもしれないが、きちんと観測することによって、日食の不思議さを改めて体験してしまった。子供たちよ、その目にしっかりと焼き付けるのじゃぞ。そして、脅威の食分最大時間は過ぎ去り、地上に真夏の太陽が戻り始めた…。
11時09分31秒。1/100秒 明るさ比=25% 食分最大から10分経過。まだ明るさはほとんど変わらない。この食最大含めて20分ぐらいは、不思議な感覚を楽しめた。 |
食の最大を過ぎた太陽。よく見ると、今まで太陽の右上が欠けていたのに、欠け終わりに向かって右下が欠けている状態に変化している。 |
11時21分20秒。1/160秒 明るさ比=40% 地上に明るさが戻り始めた。見る見る明るくなってきて、気温も上がってきたように思えた。 |
食の最大から20分ほどして、急激に周囲が明るくなり始めた。涼しい風はなりを潜め、次第に暑さが戻ってくる。雲は相変わらず厚いままだが、太陽は見えたり見えなかったり。そして、再び異変に気がついた!。「セミだ!セミが帰ってきた!」
静かになっていたグランドに、 |
11時30分59秒。1/320秒 明るさ比=80% 太陽は半分までまだ少し足りないぐらいの復活度合い。でも明るさはほとんど戻ってきた。 |
かなり明るくはなってきたが、太陽はまだ雲の向こうからしか顔を出さない。うす雲の度合いによっては、肉眼でもはっきり形が分かる。これまで何度となく部分日食を見てきたが、こんな風に肉眼で形が見える日食は初めて見た。いずれにせよ、雲の状態によって露出を調整しないと、なかなか形を捉えることができない。 |
11時40分42秒。1/400秒 明るさ比=100% まだ欠けているのは十分に分かる。でも明るさは既に元通り?!。 |
太陽の形を直接撮影している場合は、フィルターも何も付けずに撮影できている。実際、今回の日食では全国各地でこのようにそのまま撮影できた場所も多かったようだ。これはシュロの葉ごしに撮影。こんな風に地上の景色と同時に写せるのは、なんとも不思議だ。日食の終わりに向けて、左下側に欠ける位置が変わっている。月が右上から左下に向かって動いていったことが分かる。 |
12時00分02秒。1/800秒 明るさ比=200% 実は本来の太陽の明るさはこれ。いや、実際にはこれ以上。これと比べると、一番暗かったときは10%程度の明るさになっていたことになる。 |
そして真夏の日差しが戻ってきた。地面に影ができているのがわかるだろうか。このあと完全に食分が終わるはずだったが、明るさも元に戻り、お昼も過ぎたのでここで観測は終了。同時に、空は再び雲に覆われてしまった。 |