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窓際天文台のシステム。室内で15cm反射赤道儀を駆使しているのだが、重たくってしょうがないEOS10D、200mmF2.8で露出30秒×3回。意外なほど良く写ったアンドロメダ大星雲
窓際天文台 2003年

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 動いているのかどうかさっぱり分からない窓際天文台(^_^;)。忙しい合間をぬって少しだけ見上げてみた夜空なんかを対象に、望遠鏡本体等のシステムを紹介しつつ、デジカメでの天体写真への挑戦を記録してみた。


2004年5月27日 ケータイで太陽観測

太陽観測ならでは。携帯電話で撮影もできる  既に昨年の話を今ごろするのも反則っぽいのだが、面白い話だからいいだろう(強引)。太陽面観測の話だ。窓際天文台を復活させてから最初の天体の被写体となったのと同じ、太陽なのだが、この撮影をしたのは2003年の11月。その頃の太陽面は結構活動が活発で、肉眼黒点が次々と現れていた時期だった。

 実際、太陽面観察用のサングラスをかざして太陽を覗いて見ると、なにやら「しみ」のような黒点が実際に見えたりした。昔の人が「太陽にはカラスがいる」と言った所以だ。

 で、そのあまり現れることの無い肉眼黒点を写真に残して見よう、ということでチャレンジしてみた。撮影方法は比較的簡単で、手元のサブスコープ、ハレーマルチ70S(70mm f=400mm)を三脚にセットして天頂ミラーを介して光を90度曲げ、室内に用意した白紙に投影したのだ。

 ピントをあわせるのに多少苦労するのと、もう一つ、光軸がどうしても合いにくいため、ちゃんと90度に紙をあわせるのに苦労した。専用の台とかがあればいいのだけど、そんなものは用意していないのでどうしても太陽が曲がって映ってしまう。

 ちょこちょこ調整していると、あっというまに太陽は視界から外れてしまうし、ちょっとずれるとすぐ太陽は斜めに映ってしまう。とにかくそこそこの形になったところでデジカメでパチリ。ひととおり写し終わったところで、ハタと気が付いた。太陽をここまで引き込んだのだから、もっとお手軽な携帯電話のカメラで撮影できるのではないか、ということだ。

 さっそく携帯でんわを取り出して撮影して見た。今持っている携帯電話はカメラの機能を重視しているわけではないのでかなり適当なのだが、それでもここまで大きい黒点であればそれなりに形も分かる程度の撮影ができる。パンフォーカスなのでこれ以上の解像度は出てこないのだが、携帯電話で天体写真、というのも面白いのではないだろうか。



2004年1月2日 うるわしのオリオン座大星雲

キレイに撮影できたオリオン座大星雲。ノイズっぽいのは仕方ない?  年末にかけて結構忙しい日が続いたので、天気が良くてもなかなかカメラを引っ張り出す機会がなかったのだが、仕事納めも終わってホントの年末になった12月28日、ようやく月も無く、晴れた機会にめぐまれた。アンドロメダ大星雲なんかもきれいに撮影できたので、以前から撮影してみたくてたまらなかったオリオン座大星雲、M42の撮影にチャレンジしてみた。

 この時期オリオン座は南の空になるので、撮影場所は例によって2階の部屋のベランダ。ここは振動も結構あるので通常ならばこんなところで星野撮影をするのは無謀なのだが、30秒程度の露出で、200mmぐらいの焦点距離ならまぁなんとかなるだろう、というレベル。とにかく今のカメラ、EOS10Dならオリオン座大星雲の色も結構出てくれるので、前回の白黒写真みたいなことはないだろうと思っていた。

 前回の撮影でピントの位置や、極軸のだいたいのあわせ方等はKnow-Howとして持っていたので、比較的スムーズに撮影が進んだ。今回は被写体が明るいということもあって200mmズームの絞りはF2.8で開放のままだけど、感度はノイズを下げるために800まで下げた。実際に撮影された画像は、若干郊外とはいえ、新居浜市街地になるだけあってそれなりに空が明るくなってしまっていたのだが、3枚ほど合成してコントラストをあげてやると、結構見栄えのする星雲となった。

 撮影時間はそれぞれ30秒、前回と同じでレリーズケーブルをまだ購入していないので、セルフタイマー+ミラーアップを使っての撮影だ。レンズはSIGMAのAPO70-200mmF2.8、200mmで撮影しているが、写真は中央部をかなりトリミングしてある。感度はISO800で、もう少し感度を落として露出を伸ばしてやればノイズは減ると思うのだけど、ケーブルを購入していないという問題と、これ以上露出を延ばすとガイドずれも起こってきてしまうという問題もありそうだ。

 それでも、以前にフィルムでこれけの写真を撮影しようとすると、望遠鏡を繰り出して空の暗いところに行き、ガイド鏡を付けて高感度フィルムにて長時間露出していたことを考えると、隔世の感がある。フルデジタルで処理できる今なら、コントラスト調整やコンポジット、トリミング等の暗室作業は全てPC上でできるので、適度にトリミングと調節をしてやれば、元の画像がそれなりにあれば十分な映像を手に入れることができる。以前の苦労を考えれば、ベランダで5分少々の撮影時間でコレが撮影できたとは…あまり考えたくない(^_^;)。

 それにしても12月末の屋外は寒い(あたりまえだ)。風呂上りにちょこっと撮影するつもりだったのだが、M42はもちろん、他のM78星雲なんかも撮影してやろうと欲を出していたらついつい長くなってしまい、体の芯まで冷え込んでしまった。もうすこし厚着をしてから取り組めばよかった(^_^;)。



2003年11月2日 淡い銀河撮影に挑戦

ISOを1600まで上げて、30秒露出で  ちょっと前の話になってしまうが、9月末、晴れた日が続いたので再び星野写真にチャレンジしてみた。機材は前回と同じ。赤道儀に70-200mmF2.8を乗せ、EOS 10Dで撮影する。今度はピント具合とか極軸の具合とかを把握してあるので、被写体さえ雲に邪魔されずにきちんと見ることができれば、比較的すばやく、確実に撮影できるはずだ。

 今度のターゲットは秋の代表的な天体、アンドロメダ大星雲ことM31だ。この星雲は肉眼でも見えるので、カメラのファインダーを覗けばおおよその位置が把握でき、フレーミングも楽にできる。唯一問題なのはこの時期、天頂付近まで上がるため、カメラをほぼ真上に向けなければならない。当然部屋の中からは撮影できず、ベランダにカメラと赤道儀を引っ張り出しての撮影になった。以前真冬にM45を撮影したときと同じシチュエーションだ。もちろん、真上を向いているのでファインダーを覗くのに一苦労する点も同じだ(^_^;)。

 まだレリーズを購入していないので撮影方法は前回と同じ。30秒露出となる。ISO感度は800程度も試してみたが、やはり30秒の露出だと1600ぐらいまで上げないと星雲の端の方は全く写らなくなる。ノイズはそれなりにあるのだが、縮小してここに載せる程度ならまず問題無い範囲だ。ただ、さすがにJPEGのノイズは気になる。やっぱりこういった被写体はRAWで撮影した方が良いようだ。それにしても思いのほか淡い星雲もしっかり写るのでこれまたびっくりしてしまった。

 以前、学生や独身の頃に銀塩一眼レフと望遠鏡でアンドロメダ大星雲を撮影しようとしたことも何度もあるが、やはりフイルムの感度や、望遠の程度、ガイド精度などの問題から、このレベルまでの写真を得るためには相当の苦労をした記憶がある。それでもここまで周辺部までの星雲は写らなかったかもしれない。デジカメなら後処理で明るさやコントラストを簡単にいじることが出来るということもある。

 当時とは機材にかけられるお金が違うといえば確かにそうなのだが、撮影するときの気軽さや、撮影後の処理を考えても、はるかに楽になっているし、時間も短い。子供がいる現在では夜中に星を撮影するためにどこかに出かけていくということも容易ではないが、ベランダから気軽に(とまではいかないかもしれないが)撮影ができるのは、時代を感じずにはいられない。

 露出は30秒なのだが、実はベランダで撮影するのにはこの辺が限界なのかもしれない。感度を最大付近まで上げなければならないのでノイズ的には苦しいのだが、この拡大率でれ以上の露出をかけると、どうもガイドずれが気になりそうだ。何度か撮影するとはっきりするのだが、撮影した星の位置が微妙にずれている。これ以上の精度でガイドするには屋外に出してきちんと極軸をあわせる必要がありそうだ。

窓際にセットした星野写真撮影セット。これでカーテンを開ければ撮影可能

2003年10月23日 意外と写る30秒露出

 望遠鏡に新兵器、一眼レフデジタルカメラ10Dを取り付けての惑星、月面撮影ではいまひとつぱっとしなかったのだが、9月末から10月初めにかけて、比較的天気の良い夜が続いたので、今度は星野写真にチャレンジしてみた。ただ、まだ10D用のリモートレリーズ(電気接点式)を購入していないため、シャッター開放時間はカメラ本体で設定できる最長の30秒まで。さすがにこの露出時間だと撮影できる対象は限られてくるが、これまで使っていたE-10でさえ最長8秒までだったので、少なくともそれよりは良好な画像が得られるはずだ。

 使う機材は惑星撮影の時と同じ10D、そして赤道儀、それから違うのは今回導入した70-200mmF2.8の明るい望遠レンズだ。10Dに装着すれば320mm相当の望遠になるため、窓際から撮影しても屋根や窓が入りにくく、そこそこの画像が得られると期待された。とりあえず夜半頃に上ってきたM45、すばるにターゲットを合わせ、東側の部屋から窓越しに撮影してみた。

 ISO設定は400で露出は30秒。とりあえずすばるの撮影には成功した。しかし、極軸を適当に合わせてあるだけで正確には合っていないためか、どうもブレた画像になってしまった。家はほとんど東西南北に面して建ててあるので、床の板目にそって赤道儀を設置したのだが、どうもずれているようだ。実際、惑星撮影などをしていても少し東に振ったほうが良好な追尾を見せていた。

とりあえず撮影したすばる。ガイドもピントもボケボケ  どの程度ずれているのか気になっていたので、北側の窓から極軸を確認。極軸望遠鏡が15年以上前のもので古いため、正確に極軸望遠鏡指定の印の部分に導入しても地球の歳差運動で15年前に比べると北極星が微妙にずれているはずで、正確には合っていないはず。もっとも普段は極軸望遠鏡で見て合わせるほどの使い方はしないので、これで十分といえば十分。とりあえず極軸を合わせてみた。高度についてはこれで固定して架台の水平を保ってやれば、いつでも(そこそこは)合っているはずだ。

 肝心の方位だが、三脚の脚と床(フローリング)の板目の状態から見ると、約2枚分東にずれていた。これまではせいぜい1枚分ぐらいしかずれていないと思っていたので、思いのほか北極は東に向いていたことになる。で、肝心の星野撮影だが、北極星が見える所からはすばるは見えないので、再度架台を動かして、先ほど確認した板2枚分をずらし、もう一度30秒の撮影を行った。

 今度はほとんどぶれることなく撮影完了。これで結構綺麗な写真が…とおもったのだが、そう甘くは無い。良く見るとピンぼけ状態だった。フォーカスは目盛を無限遠に合わせてあるのだが、実際は微妙にずれているらしい。しいかたがなので明るい星を選んでファインダーをのぞき、ピントリングを回しながら最適と思われるピントをもう一度確認した。結果、無限遠から線半分ぐらい手前に回した所でピントがあっているようだ。後日何枚か撮影して比較してみたが、やはりこの辺が最適らしい。レンズの固体差か、その他の影響なのかはわからないが、無限遠表示を過信するのは危険ということか。

何度も調節した後のすばる。ISO感度を上げているので30秒露出でガスまで写っている!  というわけで3度目の正直、今度こそということでそこそこピントの合ったシャープな像を得ることに成功。こうしてみると思いのほか綺麗に写っていた。調子に乗って感度を1600まで上昇させたのだが、それでも予想よりノイズはずっと少ない。たった30秒の露出でもISOを1600まで上げれば、なんとM45を包む薄い青い星雲がほのかに撮影できた。実は赤い星雲であるM42も何枚か撮影したのだが、雲に邪魔されたためまともな写真は無い。しかし、前回チャレンジしたE-10の時とは比べ物にならないほど色が出ており、さすが10Dだ、と思わせられる。これはかなり期待できるかもしれない。

 なお、1枚目と2枚目の大きさや、色合いが異なるのはレタッチの時のパラメーターが異なったり、トリミングの時の大きさが異なったりしたためで、深く考えてはいけない(^_^;)。

 ただ、何枚か撮影して確認している時に気がついたのだが、画像の右やや上の方に一箇所だけ赤い点が常時点灯している場所がある(掲載の写真ではよく分からない)。フレーミングを変えても同じ位置にあるので、カメラ側のノイズのようだ。サーマルノイズであるならさほど気にしなくてもいいのだが、CMOS側の問題だとするとちょっと問題になる可能性もある。ただ、これまで一般の撮影をしていても気になったことは無いので、通常の撮影をする限り出ないのでは?と思っている。今は色が赤々としているので星と区別はつくが、もし微妙な色合いになると少し困るかもしれない。



2003年10月11日 デジタル一眼レフで復活

望遠鏡にセットした一眼レフデジタル10D。これで接続の問題は無くなった だいたい半年に1回程度しか活動してこなかった窓際天文台だが、これまでは目的である天体写真を撮影するのに、制限がかなり多かったり、面倒だったりということが多かった。そもそも手持ちの機材だけでなんとかしようとしていたので、初めから無理があったといえばそうなのだが。

 しかし、今年の7月、ついにそんな問題をかなり改善するデバイスを手に入れた。言わずと知れた?一眼レフデジタルカメラ、EOS 10Dである。これまでデジタルカメラで天体写真を撮ろうとすると、まずその感度とノイズ性能が問題になった。特にノイズは致命的で、かなり寒い日でないとまともな撮影ができなかった。もう一つは望遠鏡との接続性。月や惑星を撮影したり、星雲等を拡大して撮影しようとすると、望遠鏡と接続しなければならなかったが、レンズ一体型のカメラではそこに限界があった

 一眼レフデジタルの10Dであれば、その多くをクリアすることができる。購入して間も無い夏の間はあまり良い天気に恵まれなかったので星野写真を撮影する機会がほとんどなかったのだが、時は火星大接近。まずは接近していた火星に望遠鏡を向けてみた。

 撮影のシチュエーションはだいたい写真で見てもらえば判るのだが、室内に望遠鏡を据えて火星を狙う(この状態で望遠鏡は窓に向けてある)。今回の接近では南中時の火星高度が比較的低いため、屋内に望遠鏡を置いたまま窓を開けるだけで火星を狙うことができた。一眼レフカメラなので当然望遠鏡とは直結。以前OLYMPUS OM-2S/Pを接続していたアダプターに、今回購入したEOS専用のTリング(1200円ぐらい)を追加しただけで接続可能となった。

気流の状態が悪いままでの火星。これだとただの丸だ  で、実際に撮影してみた火星がコレ。正直なところ、大接近の割にはあまりいい映像を得ることはできなかった。昔撮影した火星の写真を引っ張り出してみると、銀塩の頃の方がよっぽどうまく撮影できている。もっとも、当時とは望遠鏡が異なったりしているので直接は比較できないが、思い当たる節も無いことはない。

 ひとつは室内からの撮影ということ。実際、何度か撮影を繰り返していた9月、やたら気流が乱れる、というかシーイングが悪いことがあった。眼視で見てもまともに見えない。おまけに、その乱れ方にばらつきがあって、突然良く見える瞬間があったりする。おかしい。いくら上空の空気に乱れがあったとしてもここまでは…。

 で、ハタと気が付いたのが望遠鏡の位置。なるべく楽に撮影できるようにと、望遠鏡の位置は室内にほぼ入っていた。鏡筒の先も窓よりも室内側にあったわけだ。ここで室内と屋外の間に気流が発生し、見え方を大きく乱していたようだ。実際、望遠鏡を極力窓際に寄せ、筒の先を窓から出るぐらいまでにしてやると乱れ具合はかなり良くなった。

なんとか安定させて撮影できたけど、かろうじて模様が出る程度  しかし、それでも写りはここまで。なんとか模様が分かるかどうか、というレベルだ。望遠鏡そのものの性能や高軸の調節、高倍率ゆえの極軸の狂いによるブレ、2秒のセルフタイマー&ミラーアップを使っているとはいえ、シャッターを押すときのブレ、そして室内で撮影している故の気流の乱れや振動等は、かならずしも完全に除去できていないと思う。現時点ではここまでがせいいっぱいであった。時は2003年10月。既に火星はかなり遠ざかりつつある。

 次の接近のときには、いや、次に土星や木星が観望好機になったときには、もう少しまともな撮影ができるようにしてみたい。ただ、季節がそうはさせてくれないかもしれないが…。今回も撮影のために窓をあけていたため、かなりの数、蚊に刺されてしまった。窓際天文台も楽ではない。



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