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始めて行った富士山5合目2023年6月
今日も曇天20

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 小学生の頃から慣れ親しんできた天体観測だが、その頃から、「これは一生の趣味になるだろうな」という気はしていた。紆余曲折を経て、未だにあれやこれやと思い悩む天文おっさんとなった。写真撮影にまつわる顛末を記録してみた。「曇天」なのは、晴れればこのページを書いている暇が無い訳で、曇って星が見えない日に書いているから。例によってトラブルも多数…(^^;

2024年1月10日 再びの星見台(設置2023年1月)


仮置きしながらレイアウトを決めていく
再度の引っ越しで、庭に新たにウッドデッキ(星見台)を作り直す。まずは図面(落書き)とにらめっこしながらレイアウトを決めていく
前ページでも引越&星見台(ウッドデッキ)作成の話をしているが、また同じ話だ。実はかのウッドデッキを設置してから2年後、2022年後半にも、またまた引っ越しをしたため、それまで便利に使っていた星見台が使えなくなってしまったのだ。新しい家にも庭はあるので、使っていた星見台を持ち込んで設置すればなんとかなりそうだったが、以前の星見台は現地の塀と一部一体化しているなど、そのままでは使いにくい状態だったため使い回すのは諦めた。また、今回の庭は周囲との関係で視界はかなり限られる。どのぐらいかというと、庭の真ん中にそのまま立っただけでは冬至の太陽が見えないぐらい限られるのだ。北側は自宅があるため更に制限される。思っていたよりも厳しい環境だ。まぁ、その分風は抑えられるんだけどね。

せっかく庭があるのでここに新しく星観台を作り直すことにした。結局ウッドデッキだが、現地の状況に合わせるのと、これまでの反省も含めて少し変更を加えることにした。

1.視界を確保したいのでできる限り高くする。床高さを60cmとした
2.床材が一番劣化して塗装頻度が上がるため床材だけはプラ材とした
3.前回のウッドデッキをバラすときにネジの劣化が激しかった。床材だけはステンレスネジで止める
4.地震が来ても横転しないぐらいにはしたい(主束石に羽子板付きを使う)
5.広さはそんなに取れないので最低限、1畳程度とした

レイアウトが決まれば束石部分に砂利を入れ込む
レイアウトが決まれば、束石部分の下を少し彫り込んで砂利を詰める。振動と沈降を防止するが、簡易的なので効果は限定的
これまでの経験とネット情報を駆使して、なるべくお手軽に、でも星見台として使えるウッドデッキを作ることにした。それまでは庭にほぼ直置き(三脚部分にブロック設置)した望遠鏡で時折観望する程度だ。2022年の月食&天王星食は庭直置きで楽しんだ。おおよその柱と梁のスケッチができたら組み立て開始だ。主な柱類は2x4材で、メインの材料は近所のホームセンターでだいたい揃えた。

ただ、床のプラ材だけはちょっと特殊なのでネットで注文した。一般消費者も買えるが、「レッカー車が横付けできない場合は営業所止まりになるよ」との脅し文句も並ぶ素人さんお断りモードだ。まぁ、実際には12枚セットのうち、4枚ずつのパックになっていて一人でもなんとか運べるレベルだったので玄関先に置いてもらった。プラ板だと塗装も不要だし、経年劣化が少ないのでメンテ面でもかなり楽になるはずだ。

視界の関係で、設置位置は庭のど真ん中になってしまったが、今のところ他の用途に使う予定はないし、ウッドデッキを設置すると考えればまぁいいだろう(いいのか?)。レイアウトと柱の位置が決まれば、柱とピラー脚の下は少し掘り込んで砂利を埋める。本当ならコンクリートで埋めればいいのだろうが、そこまでするにはもっと手間とコストがかかるのでとりあえず砂利埋めで対応とした。実は前回でも同様の対応をしてて、沈下対策として効果があるのは実証済だ。4隅の束石は転倒防止も兼ねて羽子板付きとした。一つの羽子板の穴の位置を確認して、同じ高さで柱に穴をあけていく。これで4本を設置…と思ったら穴の位置が合わない。よく見て見ると、羽子板の穴の高さがそれぞれ微妙に異なっている。まじか…。ま、まぁ、これぐらいはDIY「あるある」だろう…。気を取り直して穴をあけ直してボルトで柱を止める。

ピラーの整備も同時に実施
これまで気になっていたピラーの脚部分の整備&塗装も今回実施した。こんなに苦労するとは思わなかったが…でも綺麗になったので気持ちいい。
今回の星見台新規作成で、せっかくなのでピラーの整備をしておきたいと考えた。今後もバラすつもりは無いが、この機会を逃すと一生整備しないかもしれないからだ。元のピラーは屋外放置されていたものを貰い受けたものだが、既に脚の取り付け部分のキャップボルトが結構錆びていて、外れるかどうかも怪しい。まぁ外れなくはないだろうとタカをくくって始めたが、これが意外と苦戦した。

オイルスプレーを吹きながら少しずつ外すのだが、思いの外硬い上に結構な締め代があってなかなか最後まで外れてくれない。なんとか外して、新しいネジをオイルを噛ませた上(サビ防止)で締め込んだが、結局1日がかりで、塗装も含めると2日程かかった。いや大変だったが、きれいに塗装し直したピラーもなかなかいいもんだ。ちなみに先端の高さ調整ナットはミリ規格ではなくて1/2インチのネジだった。12mmだと思ってスタンバイしていたので慌てて買い直しに走ったのは秘密だ。

ピラー高さはそのままでも結構あるが、視界確保のためにできるだけ高くしたい。結局15cmのピンコロを2段重ねて設置し、その上にピラーを乗せている。30cmのゲタをはかせているわけだ。本当ならもう少し上げたいところだが、これ以上上げると床材の梁に当たってしまうのでここまでだ。これ以上上げる時はハーフピラーが必要になるわけだ。本当ならこのピンコロ2段とピラー脚を番線でくくりたいところだが、まだそれはできていない。地震が来てピラーがすっころぶ前にやっておきたいが…(^^;

ちなみにこのピラーを設置した時に、太陽が南中する時刻を見計らってピラーの影でピラー脚の1本を正確に北に向けようと思ってスタンバイしていた。だが、いつまで経ってもピラーの影ができない。そう。隣家の屋根の影に冬の南中太陽が隠されてピラーの影ができないのである。まじか。そこまで視界が悪いと思っていなかったので少なからずショックだった。赤道儀を乗せれば望遠鏡はかろうじて太陽を捉えることはできるが、意外と南側の視界は狭い。

ピラー設置と合わせて床板を張っていく。床板は恐らくプラに木材を混ぜ込んだハイブリッドのプラ材だとは思うのだが、これを切断するのに少し苦労した。万能ノコで切っていくのはそれほど苦労しないのだが、素材の関係か、ノコが凄い勢いでちびていくのだ。しばらく切ると、すぐにノコが切れなくなってしまう。完成するまでに何度ノコ刃を交換したことか…。と、とにかく、きちんと切った床板(といっても幅が中途半端で端部は1x4の板になったが)ステンレスネジで固定し、最後につま先板を設置して完成。手すりも申し訳程度だが設置した。床の高さがあるので闇夜で落下すると大変だ。

完成した星見台
なんとか完成した星見台。床材をプラ材にしたのでそこは安心。ピラー部分の穴がいいかげんな感じなのはご愛敬…
メインのウッドデッキ部を設置後、以前の星見台から移設した歩廊を少し改造してリビングから移動できるようにした。更にリビング前には余った床板で縁側を作成。なかなかいい感じになった。実はこれらをしておかないと、リビング側から星見台に移動するのに靴を履き替えなければならない。歩廊を作っておけばスリッパのまま星見台に行けるので、相当楽になるのだ。

ほぼ一ヶ月をかけて作成したが、これで少しだけ広くなった視界で気楽に星を見られるようになった。ドームと違って赤道儀や筒を置きっぱなしにはできないが、チャンスが広がったのは事実だ。自作することで最低限の費用で、融通の効いたレイアウトとなった。最後に、余った単剤で簡易の椅子と、ピラーに差し込むことでテーブルになる簡易テーブルを作っておいた。昼間の使っていないときはおされなテーブル付きウッドデッキに早変わりというわけだ。



2024年1月11日 最新のSTARVIS2 ZWO ASI585MC(購入2023年5月)


1インチと比べるとさすがに小さい
ノイズが少なくて明るく写せる…と期待して導入したASI585MC(左)。1/1.2インチのCMOSということで1インチのCMOSであるASI183MC(右)とセンサーサイズはそーんなに変わらない…と思っていたのだが、こうやって比べると結構違う…
2022年秋に引っ越しをして、その前から色々物入りだったこともあって1年ほどはあまり大きなものは導入できないでいたのだけど、少し落ち着いてきたので新機材の導入を進められるようになった。冬には新しい星見台が稼働できるようになったのでこれまでのCMOS、ASI183MCで春の銀河なんかを撮影してみていたのだが、どうもノイズが多い。恐らく露出が全然足りていないんだろうとは思うのだが、そもそも1インチセンサーで2千万画素だから多分無理がある。ここは一つ、安くて性能の良い新しいセンサーを導入してみるのも面白いんじゃないかと思うようになった。

星仲間のUTOさんのおすすめもあってSONYの新しいSTARVIS2センサーを搭載したZWOのカメラ、ASI585MCを選んでみた。本来ならIR/UVカットフィルターもセットで買うべきなんだろうが、とりあえず今の183mcで使っているフィルターを付け替えて使ってみることにした。

価格は税込み6万円強。今回はほぼカメラだけの購入なので、オプション含めてそれほど高い買い物ではないが、まぁ、安くはないよね。あまり中途半端な買い方をするよりは、もしかしたら冷却カメラぐらいまで一気に行ってしまった方が話が早いかもしれない…が、使って見たかったのだSTARVIS2。とにかくやってきた585MCは形(外観)は今までの183mcとほぼ同じ。ただセンサーは今どきの凄く細長いものになっている。同等の画角というよりはちょっと高倍率になっているかな。

試し撮りのトリオ銀河
試し撮りで自宅から撮影してみたしし座のトリオ銀河。画角的にはなかなかいいけどノイズはもうちょっと減らしたいところ。 KOWA PROMINAR+TX10T(500mm F5.6 120sec x23 GAIN252) EM-200、75mmF2.8+ASI120MMmini ASIAIR オートガイド
早速PCにドライバーを導入して、惑星や月を普通に撮影してみると、低ゲインではあまり変わった感じがせず、高ゲインではすぐ飽和するイメージだ。低ゲインで撮影する限りノイズがそんなに減った感じはしないので、コレはもしかしてもっと高ゲイン短時間露光を志向したほうがいいのかな?とも思う。実際、惑星撮影では大気の揺らぎが結構影響するので、ノイジーにならない範囲で高速シャッターを使えば、ややシャープな写真になる傾向がある。高ゲインを活用して高速シャッターを活用するのもいいだろう。

1/1.2インチセンサーで倍率としてはフルサイズの3.2倍ぐらい。実際には画角が細長いので4倍ぐらいのイメージだ。例えば150mmマクロを付ければ600mm相当の望遠並みで撮れるのでお気楽なシステムで星雲星団を撮るには手頃だし、電視観望用途としても結構いい感じだ。最大ゲインは600まであるので、高感度を活かしたり赤外感度を活かしてもうちょっと色々楽しんで見たいとは思う。

実際使ってみると500mm望遠レンズでしし座の三つ子トリオ銀河(M65,M66,NGC3628)が丁度いい画角で入る。まだ露出が少し足りなかったり画像処理の技術が拙かったりするのでノイズは多い?が、ポテンシャルは感じる画像になっている。うまく使えばもっと暗い空で銀河を追いかけるにはいいかもしれない。まぁ、本格的にやるなら冷却カメラが欲しくなるかもだが(^^;。

問題はUV/IRフィルターを外されてしまった183MCだ。今のところ200mmのガイド鏡に付けてガイドセンサーとして活用しているが、せっかくの1インチをガイドカメラとしてだけで使うのは正直もったいない。フィルターを用意して月、惑星にすぐに使えるようにするとか,IRフィルターでも入れて高機能ガイドカメラにするか、もうちょっとしっかり使ってやらねばとは思っている。思っているだけでなかなか動けないのだが…。



2024年1月12日 ちょっと高価な「ただの筒」(購入2023年5月)


2022年に導入していたBORGレデューサーDGQ
実は2022年にBORG107FLのレデューサーとして、正規版ではないけど90FL用のレデューサー、BORGレデューサーDGQを導入していたのだが、うまく使えていなかった
2023年の5月、新しいCMOSを購入する際に、実はもう一つ(いや、二つ?)新アイテムを導入していた。ただ、新アイテムと言ってもレンズやカメラや新しいデバイスでさえなく、「ただの筒」2本だったりする。その「ただの筒」がかたや14千円、もう一つが20千円もしたりする。それなりの価格だったのでこれまでなかなか買えていなかったというのがある。

一つは光圀さん(BORG107FL)のレデューサーとして買ってしまった90FL用のレデューサー0.72xDGQ、【7872】を使うためのものだ。このレデューサー0.72xDGQ【7872】(以下面倒なのでレデューサーDGQとする)を買ってしまったのは実は2022年の2月の事。そういえばHPで紹介するのをすっかり忘れていたが、この時はBORG製品が軒並み値上がりする、ということでいつかは使ってみたかったこのレデューサーを慌てて買ってしまっていたのだ。当時の価格で61千円。値上がり後は73千円になっていたからまぁ、差額を考えると購入しても不思議ではないのだが、あまり詳しく調べられないまま買っていたのだ。実際、BORG107FLで使っている人もいるようだったのだが、そーんなにいないみたいで、今となっても情報は不足気味だったりする。

当時の苦労はBlogを参照してもらうとして、とにかく光路長が長すぎてまともに使えないという結果だった。F4まで明るくできるのでそれなりの武器にはなるはずだったのだが、とにかくそのままでは使いにくいし、焦点距離的には432mmF4.0になる。そこそこのものだが、この辺はプロミナー指令(350mmF4.0)と五郎(500mmF5.6)の間で、ちょっと中途半端と言えばそうなので、結局あまり使えないまま1年以上が経過してしまったのだ。

が、転機は訪れる。2023年のCP+で出品していた>BORGの担当者と相談したところ、やはり短いφ80用の筒、今回購入の70mmカーボン鏡筒【7070】を勧められた。今セットされている標準の筒が120mmのカーボン鏡筒なので、50mmの短縮になる。税込み14千円と、値段がやや高いので躊躇していたのだが、あんまし遠慮していても、せっかく買ったレデューサーがいつまでたっても使えないのでは意味がない。ええい、ままよ!、ということで今回購入に至ったわけだ。

φ80のカーボン鏡筒70mmとの比較。これだけ短くなれば…
BORGのカーボン鏡筒φ80mmの70mm長のものを導入。元から付いている120mmと比べると50mm縮まるのでこれでピント問題は解決するはず…だ。
50mmも縮まれば、さすがにフィルターホルダーなんかを込みにしてもきちんとピントが出るはずである。ただ、組み直した場合に今度は焦点距離600mmの長さを活かしたくてフラットナーなどを組む時にまた結構なく見直しが必要になるので、面倒ごとが嫌いな私としてはちょっとイヤな組み合わせだったりもする。なかなかうまくは行かないもんだ

とにかく、この新兵器「ただの筒」がきちんと機能するかどうかの確認がいるだろう。普段はマルチフラットナーをつけっぱなしで稼働してきている光圀さんだが、今回は久々に全部バラして筒を組み直しとなった。久々なんでフィルターアダプターとか順番や組付け方がどうだったか、試行錯誤になってしまった。たまにはバラしてみるのもいいな。ただ、写真を見てもらえれば分かるが、筒が短くなった分鏡筒バンドの取り付け位置は結構短くなる。全体の強度的には少し不安になるが、今のところ大きな問題は起きていない。まぁ、少し心配ではある。

なんとか組み上がってまずは眼視でのピント確認だ。天頂プリズムを付けて確認してみると、さすがの65mmのトラベル長を誇るBORGのフォーカサーでもちょっとだけ長さが足りなかった。まぁ、これはこれで延長筒を付ければ運用できるのでいいだろう。そういえば光圀さんで月面をまじまじと眺めるのは初めてだったかもしれん。この後コロナ後で復活した街角観望会とかで結構見る機会は増えてきたけどね。結構良く見えるよなぁ、と感心しまくりだったりする。

さて、本番はここからだ。レデューサーDGQを取り付けて、カメラも新兵器、ASI585MCを付けて確認してみる。こちらは特に問題なくピントが来た。フィルターアダプターや回転装置などを含めても問題なく使えるので、バッチリ問題無しだ。カメラによっては周辺減光等は気になるかもしれんが、とりあえずのASI585MC(1/1.2インチ)の小さなCMOSなら大丈夫なようだ。

APS-Cのカメラでもなんとか試すチャンスがあり、この焦点距離(432mm)だと、M8とM20が丁度良い感じで両方収めて撮影することができた。これはこれでうまく使えば夏のあんなのや冬のこんなのも色々収めることができそうだ。せっかく導入したのだから、F4の明るさを活かした活用をできるようになりたい…が、なかなかチャンスが無いのも実際だったりする。がんばんべー。

もうひとつのただの筒、TX10Tその他
左から順にTX07T。これはEOSのTリングを付けてある。真ん中が今回導入のただの筒、TX10T。右側が従来からあるTX10だ。ニコンマウント。表面仕上げが変わっているが、個人的には従来品のマットな仕上げの方が好みだ。
そして、もう一つの「ただの筒」、こちらはプロミナー五郎のアダプターだ。元々のプロミナー指令&五郎は、Nikonマウントで固定となっている上に、フィルターを入れる所が原則無い。CMOSカメラを使えばいいという話はあるが、一眼レフカメラを使う上ではフィルターを使えないのが望遠鏡に対してのディスアドバンテージになっていた。ただ、その欠点を補うためのアダプターとしてTX-07Tと、TX-10Tが発売になっていた。それぞれ通常のカメラマウントでは無くて、Tネジがマウント部分になっていて、好きなTリングをセットすることで各種マウントに対応できるうえに、内側にφ48mmのフィルターを入れるための機構がセットになっているのだ。これはかなり強力な「ただの筒」である。といっても、レデューサー相当のTX-07Tはレンズも入っている。

ただ、これらを購入するにしても、大きな問題が一つあった。モノがないかもしれないのだ。そもそもプロミナー500mmF5.6シリーズは既にディスコンになってしまっており、後継機種も出ていない。まぁ、価格的に結構するし、ニーズとしてはかなりニッチだったんだろうとは思う。それはいいのだが、本体と同時にオプションのこれらのTX-07TやTX-10Tもディスコンとなった。主要なショップからは次々にモノが無くなったのである。

これはもう、買えないよなぁ、と思っていたのだが、救いの手を差し伸べてくれたのが我らがKYOEIさんだ。KYOEIさんのサイトに行くと、一応在庫は「あり」になっている。ただ、もうディスコンになっているのだから買えないんじゃ?と思って以前店舗で聞いてみたことがある。すると、「ディスコンにはなっているかもしれないけど、サイト上で在庫ありになっている限りは買えますよ」と力強いお言葉をいただいた。なぬー!。

費用の関係でなかなか買えずにいたこれらのTX-07TとTX-10Tだが、しっかり買える、ということで順番に手に入れた。TX-07Tは2021年年末、税込み35千円。そして今回のTX-10Tだ。今回は内部にレンズは入っていないのだが、価格は税込み22千円と、これまた安くはない。また、これらはそのままでは使えず、Tリングも同時に購入しておく必要がある。今回のTX-10Tでは安さにつられてNEEWERのEOS用Tリングを導入したが、これがちょっと失敗。使えないわけではないが、思っていたよりもスカスカでガタが大きい。やはりやや高くてもビクセン製とかの方が良さそうだ。

というか、発売当初からこのプロミナーはマニュアル機構しかないわけなので、最初っからこのTリング仕様にしてもらっていれば苦労は無かった気もする。まぁ、フィルター機構は付かなかったかもしれんが。ただ、TX-07にせよTX-10にせよ、これらの「ただの筒」は純正品だけあってしっかりしている。少なくともプロミナー指令と五郎の魅力が薄れたわけではない(周辺減光が大きいのは同じなので使い勝手はいまひとつだが)。今後も必要に応じてガンガン使ってやろうとは思う。



2024年1月14日 ついに3枚…いや4枚玉 ZWO FF130 (購入2023年8月)


やっぱり大きい屈折望遠鏡はカッコイイ
2023年8月、ついに憧れの大口径屈折アポクロマート鏡筒、ZWO FF130を手に入れた。発売キャンペーンでお得だったのだ。絶対金額はこの際気にしない。大型の屈折望遠鏡はやっぱりカッコイイ!
2023年7月。私は悩んでいた。ZWOが発売するアポ鏡筒、ZWO FF130を買うか、否かである。元々発売がアナウンスされた際にはZWO初の望遠鏡だし、結構高めだし、いきなり手を出すもんじゃ無いよな、と様子見を決め込んでいた。しかし、13cmの(個人で持つには)大型のアポクロマート鏡筒は一つの憧れでもある。性能が良ければ将来考えてもいいよなぁ、と思いつつ、ZWOのスペック紹介をボーッと眺めていたのである。

ふと、妙な既視感に包まれた。あれ?このスペック画像ってどこかで見たような…。こ、これは…?

13cmの3枚玉アポクロマートでフラットナー内臓の鏡筒ってのはそんなに無い。気がつけば似たようなスペックの筒の価格や性能も比較していたのである。そんな中スペックモロ被りASKAR 130PHQを見てみると、もう被ってるとか言うレベルではなく説明画像も含めて全く同じなのに気がついてしまった。かたや受注生産で本体税込みで65万円、そして今回のFF130ならキャンペーンのレデューサー込みで同53万円なのだ。

本体やアリガタの色やデザインは多少異なるが、スペックシートや写真を見る限り、物理的形状は全く同じ、違うのは色(デザイン)と価格だけのようだ。ただ、FF130のサイトにはケースに関する記述がないのでケースは付属していないのかもしれない。まぁ、普段ケースを使うことは無いだろうからなくても困らない。モノが同じであれば、130PHQはnabeさんがレビューしていて、かなり良さそうな感触を得ている。その昔カサイのBRANCA-130EDTで悩んだような性能の問題は限りなく小さいと踏んだ。当時悩んだBRANCA130-EDTIIだと収差曲線が±0.15mm〜±0.2mmぐらいあるのだが、今回のFF130なら±0.1mm未満に綺麗に収まりそうなのだ。

この辺で既にヤバい雰囲気になっているのだがZWOのこのシリーズ鏡筒発売のキャンペーンは7月末まで。以後はレデューサーは別売りになる。7月末までに注文できればレデューサー込みで130PHQに比べると18万円も安いことになる。いやちょっと待て、そもそも絶対金額は最終兵器ギガントと同等だぞ。ま、それはそれで大口径高性能屈折の夢は捨てきれないし、こんなチャンスは滅多に無いかもしれない。円安なのは気になるがとりあえず色々聞いてみよう。ということでKYOEI東京店を訪ねてみた。こんなときに関東に住んでいるのは便利なのか問題なのか…

果たしてべらぼうに暑い7月某日、店頭で話を聞いて色々確認してみた。付属品(実はケースは付属している)や納期等を確認した。ASKARの方は既にその上のPHQ150が出るのが既定路線の様だが、ZWOはそれを乗せる赤道儀が自社製で無いため、すぐには出せないんじゃないかという噂も聞いた上で気がつくと発注を済ませていた。聞くところによると納期はお盆前後ではないかと言うことだった。

その後、ASKARの130PHQの開封動画なんかを見ながらワクワクして待っていたのだが、KYOEIさんから発注の連絡が来たあと、8月のお盆休み内ギリギリで重量25kg、佐川急便さんごめんなさいレベルの巨大な箱が到着した(ビグレプ1号ギガントに次いで3回目…)。箱の巨大さと重量の半分は付属のケースであり、オマケ?のレデューサーは別箱で届けられた。あまりにワクワクしていたので開封動画なんかを撮ってしまったのだが、喋りすぎて40分オーバーになってしまったのは秘密だ。開封時のすったもんだは動画をご覧いただきたい。

FF130の付属ケースと運搬用ケース
奥の四角いのが付属のケースで、むちゃくちゃ立派。手前がFF130を入れたamazonで購入のケース。取っ手部分が入りきらない。上に置いてあるのは大きさ皮革用の8cm屈折、STARQUEST80だが…あんまし比較にならない…
これまで鏡筒でこんな立派なケースの付いたものは買ったことがないのだが、立派すぎる割には収納量に難アリということで早々に押し入れ行きになってしまった。普段はこれまでポタ赤を入れていた90cmのNeewerのケースに入れておくことにした。2インチアダプターを付けた最短の鏡筒でおおよそ90cm弱なのでこれでギリ収納できる。取手のバランスが少々前よりだが、なんとか片手で持ち運びできるのはむちゃくちゃ便利だ。ケースを失ったポタ赤は三脚を分離すれば同じくシュークリーム三脚を入れていたケースに入るのでそっちにコンパクトに収納することにした。三脚はしばらく使う予定はないのでまぁ、いいだろう。

鏡筒はできればレデューサーを付けたまま収納したいので良さげなソフトケースとして、Hemmotop三脚ケース(全長100cm)なんかを買ってみたりもした。長さはいいのだが、アリガタ込みだと鏡筒バンドのネジのハンドルなんかが結構引っかかったりして、太さが今一つ収まらない。上部の取手を外ししまえば収まるのだろうが、取手が無いとまた不便なので悩ましいところだ。改めて探してみると、ケンコーのこんなの(SEB-01,SEB-02)もあるみたいだ。値段を考えるとこっちを買った方が正解だったんじゃないかと思う。一応、口径13cmまで対応とあるし…。

鏡筒重量はバンド・アリガタ込みで12kg。持ってみればわかるが、運搬時に片手で運ぶ際はこの辺が限界だ。もう少し重くなると両手が欲しくなる。カメラやファインダー、ガイド鏡なんかを加えると14kgぐらいになると思うが、みぞかさん(AXJ) で運用するのにあまり心配ははない。ウェイトも7kgの一つで行けそうだ。8月下旬の新月期に早速遠征テストしてみたが、F7.7とやや暗いことを除けば取り回しもよく、使いやすく性能の高い鏡筒だということが実感できた。次はレデューサー込みでの性能確認だが、これはバックフォーカス含めてちょっと調整が必要そうな気配がしている。後はフィルターワークをどうするか、だな(原則φ48mmフィルターを入れる場所がない)。

直焦点でM22を撮ってみる。フラット不要でフラットな画像
さっそく遠征で撮影してみたM22、天の川の中で星が多くてもフラットナー不要で周辺部まで良い画像を結ぶ。また周辺光量も豊富でAPS-Cならフラット不要なレベルだ
基本スペックの詳細はZWOのHPを見てもらえればよいが、口径130mmF7.7の焦点距離1,000mm。ED3枚玉+フラットナーの4枚構成。アリガタ、鏡筒バンド込みの重量が12kgだ。レデューサーを付けるとx0.7倍で700mmF5.4の明るさになる。イメージサークルは60mmもあって大判をカバーするため、今持っているAPS-Cカメラで直焦点ならほとんどフラット処理不要なレベルの周辺減光の少なさになる。鏡筒はアルミ?なので外気温による調整などは必要だろうが造りはしっかりしていて遮光も良さそうだ。後は夜露や迷光を避ける追加のフードがあればな、というところだろうか。

そうそう。これだけの鏡筒だと眼視性能も気になるが、自宅で土星や木星を見る限りは非常にいい感じで見えた。色収差も感じられず屈折らしいコントラストの高い星像を見ることができる。これまで光國さん(BORG107FL)でも見ていたが、焦点距離が倍半分ぐらい違う(600mmと1000mm)ので倍率も高めやすくて惑星観望にも向いているかもしれない。憧れの大口径屈折で惑星を見ている、そんな満足感が得られる鏡筒だ。

さて、この大型屈折にも名前を付けてやらねばなるまい。一時ウォーリーという名前もいいかも、と思ったがちょっと弱々しかったので却下。FFと言えば某有名RPGが思い浮かぶので、その主人公「クラウド」にしようかと思ったが、筒の名前が曇り空ではシャレにしてもいまいちなのでもう少し強そうなヤツにすることにした。ゲームに出てくる赤くてデカくて強そうなヤツ…ということで、今回は召喚獣「イフリート」の名前を頂くことにした。この先、FF150が出てきたらどうするんだという話もあるが、そんなのはしばらくは出ないだろうしもし出たらこっそり入れ替えて同じ名前で読んでやれば…と妙な妄想だけは膨らませておこう(ヲイ



2024年1月19日 経緯台3台め! SIGHTRON SJ-M経緯台(購入2023年10月)


ちょっとしっかり目の経緯台
スコープテックのZERO経緯台は入手し損ねたが、同等スペックで比較的しっかりした経緯台を小海星まつりでゲットすることに成功。コンパクトながらしっかりしているので色々使えそうだ
実はこの経緯台、最初の邂逅は2023年のCP+であった(リンク先の一番最後)。2月のCP+で、発売は5月ということだったのだが、当初のスケジュールには流石にムリがあったのか、実際に正式に発売されたのは小海の星フェスの直後、11月の中旬だった。

この経緯台、8月の胎内星祭でも少し先行販売をしていて、そこでの評判が結構良かったこともあり、もし機会があれば欲しいな、とも思っていたのだ。実はこの時、同時に小海特価販売していたトラバースとちょっと悩んだのだが、手動のしっかりした小型経緯台は色々潰しが効くだろうということで、まずはこちらを選んだ。なお、このトラバースについては後日購入のチャンスが巡ってくる…。

箱はシンプルな段ボールだが中身がぎっしり詰まっている感じでコンパクトだけど重い。このアルミの塊感が良くて、小海の帰りにギガントの運搬用木製ラックがへしゃげそうになったところで下に入れて程よいサポートになったりもした…。その辺の顛末はまた機会があればお話ししよう。

実際収納時には縦と横のユニットをバラした上で重ねて固定できるのでかなりコンパクトになる。ただ重量は約1.5kgと意外とあるのであんまし軽量というわけではない。実際コンパクトで軽量ならAZ-PARMがあるのでそちらが上だ。それでもSJ-Mならアームがあって荷重を内側で受けられるので安定しやすいのと、微動ハンドルで微動ができるのがかなり使いやすい。耐荷重は7kgということなので、小型の反射望遠鏡ぐらいまでOKな形だ。リチャード君(6.4kg)まで行けるはずだが、さすがに大きさ的に無理か。

自宅でボイマ君でお手軽月面観測とかする場合でも、これまではカメラ用の自由雲台に付けてやってたりしたが、SJ-Mを使うことで相当便利になった。微調整や追尾がやりやすくなったので惑星のちょっと高倍率観測なんかにもチャレンジできるようになったのだ。

実際、星仲間でやってる「まちかど観望会」にはポタ赤用のカーボン三脚と光圀さんを組み合わせて口径107mmフローライト経緯台システムを持って電車移動して徒歩参加。経緯台とはいえなかなかのシステムで参加してみた。あいにく天気はいまいちだったが、手動の経緯台だと、少ない晴れ間を目指して次々に向きを変えることは可能だ。自動導入とかだとこうはいかない。一家に一つぐらいこういうシステムを持っているのも悪くない。

さてこのコンパクトで可愛い経緯台にも名前をつけてやりたい。ジョイント部分の菊座とネジ穴がどう見てもカニに見えるとか、個人的にはにゃんこに見えるとかで、色々想像は膨らむ。にゃんこ経緯台とも呼んでいるが、ここはひとつ正式名称からも考えてみよう。型番のSJ-Mもどういう意味があるかは実は不明だが、今回はコレにちなんで今はストロベリージャムと呼んでいる。ストロベリーだと長いのならいちごジャムだ。システムとしてギアがジャムってどーなの、というのはあるけど、なにかいい名前を思いつくまでこのままじゃあ。ふふふ。

なお、少し気になったので以前発売されていたZERO経緯台を調べてみた。スペック的にはちょっと違うと思っていたのだが、本体1.5kg、耐荷重7kgってのは、ほぼZERO経緯台と同じようだ。ZEROだと微動ハンドルが別売りだったりと、実はSJ-Mの方が結構使いやすくなっている点も多い。なお、ZERO経緯台はSIGHTRONともコラボして販売していたが、現在は発売中止。背景としてはアームの構造部分に特許侵害となる可能性のある部分があったため、となっているが、詳細は不明だ。



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