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必ずしも暗いエリアにでかけられるとは限らないが、まだマシな近場の観測地
今日も曇天19

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 小学生の頃から慣れ親しんできた天体観測だが、その頃から、「これは一生の趣味になるだろうな」という気はしていた。紆余曲折を経て、未だにあれやこれやと思い悩む天文おっさんとなった。写真撮影にまつわる顛末を記録してみた。「曇天」なのは、晴れればこのページを書いている暇が無い訳で、曇って星が見えない日に書いているから。例によってトラブルも多数…(^^;

2021年9月6日 手軽に使え!EM-200


庭に作った手作り星見台
庭に手作りで設置したウッドデッキ、自称「星見台」。ピラーとアダプター2段でEM200を設置してみた
2019年に引越をして以来、自宅での撮影が比較的容易に(と言っても市街地なので色々制限は多いが)できるようになってきた。メインの赤道儀はみぞかさん(AXJ)まる子(CEM25EC)に譲り渡してしまったが、この自宅撮影用にEM姫(EM-200B)を使ってやろうということで、少しずつ進めてきている。

まず、自宅の南側〜西側が見える位置に、手製のウッドデッキを設置した。これには色々苦労したが、手作りで、合計2万円ぐらいの費用で作り上げることができた。寸法を自分で色々都合の良いように合わせられるので、苦労はするけど最適化はできている。大きさは畳1枚分ぐらいなので、観測するにはちょっと物足りないのだが、そんなもんだ。せっかくできたウッドデッキなので、一応「星見台」と呼んでいる。いや実際、星を見るとき以外は使っていないのだ。

本当は観測時にここに三脚を広げて…と考えていたのだが、あるタイミングで、タカハシの赤道儀用ピラーを譲り受けることができた。色々あるので詳細は省略するが、中古で、ヘッド部分、すなわち赤道儀との接合部が無いので、ここの工夫は必要であった。

少し悩んだのだが、ここはヘタに純正品を購入するよりも、COSMO天文工房さんの、SX(P)⇔SEピラー架台アダプタ(水準器無し)を発注することにした。ついでにAXJのアリミゾも、筒に対して少し短いダブルアリミゾよりもしっかりしたアリミゾとすべく、「3インチ80WワイドアリミゾL200丸ツマミタイプ」とすべく、これも同時に発注した。

実はアリミゾは在庫があったので、先にこっちが来て、みぞかさんのギガント固定がしっかりになってガイドずれが緩和されたのだが、今回の話はこちらが主体ではない。ピラーの活用だ。

後でSX-SEピラー架台アダプタが到着して、当然のごとくしっかり取り付けが可能となった。運用としては、ここにみぞかさん(AXJ)を載せて、自動導入であれこれ楽しむのが良いのだとは思うが、みぞかさん+ピラーアダプタだと相当な重さになる。望遠鏡部屋から移動させるのは「ちょっと見るだけ」には辛い。

実はこの星見台からは、北極星が見えない。ピラーの高さをあと1mぐらい上げれば見えるかもしれないが、それはそれで大変なことになるのでそこまではしていない。なので、できるだけ「お手軽」に星見や簡単な撮影だけをしてみたいのだ。そのためにAXJを持ってくるのは、家の中の移動とは言え、ちょっと辛いのが正直なのだ。いや、できれば本格的な撮影もしてみたいのだが…。

ちなみに、星見台を設置したのが2020年の5月頃、ピラーを入手できたのが11月頃、赤道儀を載せられるようになったのはもう年末頃だった。まぁ、ピラーはどちらかというと後から来たラッキーイベントだったのだが、思ったよりも時間はかかったかな。

ピラーのアダプターとしてSX用を選んだのだが、この狙いの一つは、出番の減っているEM-200を活用することだ。というのも、その昔、SX-EM200用の三脚アダプターは買ってあって、まだ持っていたのだ。このアダプターはビクセンのカーボン三脚、ASG-CB90には構造上取り付けできないのだが、先のSX-SEアダプターには取り付け可能だ。

このアダプターを使って、ピラーにEM-200を取り付けることができる。タカハシのピラーを使うのにビクセン用のアダプタ−とタカハシ変換を使うのもどーなのよ、とも思えるが、両用でうまく活用したかったのでこの方式を取っている。若干重いが、とりあえず問題なく使えているのでよしとする。

EM姫にアダプターを入れると、結局そこそこの重量になって設置の大変さは似たようなもんだが、実際には出撃とは別にEM姫をスタンバイできること、星見台のすぐそばにおいておける事などから、結構手軽に活用できている。惑星や月、ISSなんかを見たいときは、結構さくっと出せるので重宝しているのだ。みぞかさんのアリガタを先の3インチに変更したので、余ったダブルアリガタをこちらのEM姫に付けてある。

北極星が見えないので、極軸の問題は残るのだが、ドリフト法でそこそこ合わせた所で、極軸望遠鏡から見える壁(というか、のき下)に「この辺!」というテープを貼っておいて、北極星の代わりとしてある。まだ調整は必要だが、そこそこの精度でよければ、これで結構使えるレベルになっている。

さて、後はこれを使って…つづく。


2021年9月13日 オートガイドだ!EM-200


バラしてしまったEM-200のコントローラー
ばらして色々ハンダ付けしてしまったEM-200のコントローラー基板。ダイオードは最後には外してしまった
2020年から2021年にかけての冬は、ワンショットナローバンドフィルターで庭先からの撮影をして、赤い星雲は市街地でも結構写るよなー、と楽しんでいた。しかし、適当な極軸合わせだと、露出はせいぜい1分。がんばっても2分ぐらいまで。ワンショットナローだと、光量も限られるので、できるだけ露出は稼ぎたいところ。やはり、ここはオートガイドを導入してしっか露出をかけてみたい。そろそろTNKからも卒業の時期だ。ただ、そのためには、EM-200でのオートガイドを進めなければならない。

実は、EM-200用として、かなり昔にK-Astechのオートガイドケーブルを購入してあった。以前も確認したはずだが、全然使わないのでそのまましまい込んでいて、今回確認してみた…結果、これはRJ-45とMiniD6ピンを変換するだけのもので、これって、Temma2用だよ(って、袋にもそう書いてある)。なので、今回の用途には全く使えない。EM-200Bのコントロールケーブルのコネクタは丸タイプ9ピンなのだ。

では、他に方法が無いのか?色々探してみたが、コントローラーのコネクタにジャンクションボックスを入れて、オートガイドコネクタを増設するアダプターがオークションで売られていたりする。手っ取り早いのはこうしたコネクタを買う事だろう。ただ、どこまで使えるかどうか分からないものに1万円を出すのもなんとなく気が引ける(いや、ここはケチらない方がいいと思うのだが…)

個人的には、コントローラーに直接ハンダ付けしたんでいいんじゃね?と思ってたので、もう少し探してみると、似たようなことを考えている人も見つけた。ハンドコントローラーから配線を引っ張り出して、RJ12(オス)に繋げばいいわけだ。幸い、このShio-Gさんのblogにはそれぞれ、基板のどこへ繋げばどう動く、というのが示されているので、これを使わない手は無い。

実際にコントローラーをバラして基板を見てみると、若干グランド位置は違うようだが、ほぼ同じ形で接続できそうであった。ただ、思ってたよりも狭くて、配線の取り回しとか、作業は慎重に行わなければならない。

コントローラーにRJ11(もしくはRJ12。物理的には同じことらしい)のメスコネクタを設置できれば完璧だが、そこまでの部品や、技術は無い(今探してみると、RJ12のメスジャックは意外とありそうだ)。ただ、この写真を見る限り、ケーブルから先で分岐してもよさそうな気はする(今回はやらないが)。

ちなみに、オートガイドコネクタの配線は、突起を上にしてメスコネクタを正面から見て右から1-6番で、それぞれNC,Ground +Ra(left) +Dec(up) -Dec(Down) -Ra(R)の順で並んでいるらしい。気を付けないといけないのは、上下、もしくはオスメスが異なると、当然右左の順番が変わってくるので、どのコネクタをどちら側から見たものか、というのをきちんと見ておかないと、間違った配線をしてしまう。なんでそんな基本的なことを書いているかというと、そう、間違ってしまったからだ(^^;;

ただ、これらの接続は、オートガイダーであるSSAGに直接配線が繋がることになる。この場合、EM200の12Vや、SSAGからの5Vなんかが相互に影響して故障に繋がったりしないだろうかという不安はある。実際先のsyo-Gさんなんかは、GNDラインにダイオードを置いたりして対策しているようだ。それでも、あれこれ調べているうちに、SSAGの解析をしているというページにたどり着いた。結果、SSAG側はフォトカプラでON/OFFしているみたいなので、実際にはこうした配線に電圧をかけても大丈夫なようだ。

ここまで調べれば、後は実践あるのみ。RJ11のオスコネクタ&ケーブルは事前にいくつか購入してあるので、それを適当な長さに切って、ハンドコントローラーの根元から通して基板へハンダ付けを行う。バラした導線が結構細くて扱いにくいのと、狭いので結構神経を使う。実際、何度かやり直しをしている間に、結構な確率で断線していたりした(大汗)。この他にもダイオードが原因なのかうまく動かなかったり(多分違う)、配線が違っていたり、とにかくうまく動かなくて何度となくやり直しをすることになった。こんなことなら、最初からコントローラーボックスを買った方が…と何度も思ったのは内緒だ。

最終的に、全ての原因を対応して、PCとガイド鏡を接続し、何度となく失敗したテストを再び行う。

おおお!ちゃんとキャリブレーションで星が動く! オートガイドが始まった!

とまぁ、これだけで感動したりしてた。実際には、これは終わりではなくて、始まりなのだ。更にトラブルは続くわけで、この日は普通に動いたキャリブレーションが、次のテストでは赤緯方向が全く動かなくなって困ったりした。こちらは現場では原因が分からず、最終的には室内で赤道儀に耳を当ててモーター動作の音を聞きながらテストをして、本体基板のスピードコントロールを最大にしておかなければ動かない、というのを突き留めた。はい、壊れてます。この辺、修理すべきかも含めて悩んだが、そういえばEM姫を購入した際に、このスピードコントローラーが壊れてますよ、的な話を聞いてたような聞いてなかったような…。どっちみち今となってはどうしようも無いので、とりあえずこのまま(最大速度のまま)使う事にした。

ちなみに、このダイヤル類の使い方がいまひとつ分からなかったのだが、タカハシのサイトには過去のカタログがあって、そこに簡単な説明を見つけた。これを便利に使わせてもらっている。また、故障を確認した際に、この際だからEM-200を、こんな風に自動導入に改造してやろう…なんて企んでしまったのは内緒だ。

後は、実際のガイド撮影をしてみて、PHD2の各種調整やその他色んな確認をしていくことになる。でも、この夏は天気が悪い日が多くて、ほとんど進んでないのが実情だ。宅撮りをもっと進めるためにも、早くしっかり使えるようにせねば。
なお、ここまでの話も、やっぱりブログで紹介してたりする。気になる人はそちらもどうぞ。


2021年9月19日 真・クランプ・まる子(CEM25EC)


CEM25ECのクランプ方法再び
おさらいしておこう。黒いBOXの上にある銀色のつまみがクランプ締め込みネジ。右の真ん中辺にある平らな板の付いた黒い丸いレバーがクランプレバーだ。締め込みネジを緩めておいて、クランプを締める側(90度変更してON/OFF)し、その後締め込みネジを締めてクランプ固定(ウォームかみ合わせ)となる
2017年に導入し、トラブりながらも、サブの赤道儀として活躍してくれているまる子(CEM25EC)なのだが、相変わらずクランプの締め込みが微妙で、色々苦労しながら運用していた。しかし、2020年になって赤緯のガタが出たりしていたので、なんとかもうちょっとトラブルを減らしたいと思って、クランプの改造にチャレンジしてみた。

結論を書いておこう。本対策(改造)は、役に立たない。失敗である。真似してはいけない…と言っても、そもそもユーザーが少ないので真似する人はいないとは思うが(^^;。では正解は…?。そこは、最後まで読んでみてほしい。

さて、このまる子、モーター、というかベルトが非力なせいか、バランスが少しでも悪いと「んぎゃー」と言って脱調(恐らくベルトが空回り)してしまい、まともに動かなくなる。以前販売店の>三基光学の店長さんに相談した時は、「目いっぱい締めこんで、ほんの少し緩めるぐらいがいいところだよ」と教えてもらって、それで運用していた。

しかし、この微妙な締め込みでも「んぎゃー」が出ることもあり、どーにも使いにくい。この「んぎゃー」は、先日のトラブルの時も検討したのだが、スプリングの締め込みが甘いからだと思っていた。

まる子のウォームの構造上、このクランプ部のスプリングでウォームに押し付けて、バックラッシュやピリオディックモーションを防止している仕組みに違いないと思っていたのだ。まぁ、ウォームをバネ(この時はスプリングワッシャー)で押し付けるというアイディアは、以前GP-Dでやってみてうまく行かなかったのだが、とにかくそんな構造なんだろうな、やるなiOptron、と、勝手に思っていた。ただ、この場合、ウォームをホイールに押し付けるための圧力はかなり必要なはずだ。付属のクランプ用のスプリングでは、全然足りる気配がしない。

CEM25ECのクランプ締め込みネジのスプリングをばらしてみた
バラしてみたクランプネジ。左側のネジ部分に穴が開いていて、スプリングが入っている。右側の赤道儀のウォームブロックに当たる部分にはスムーズになるようにボールが入っている。

ということで、スプリングを強化したかったのだが、そんな丁度良いスプリングは普通売ってない。そもそも外径7mmぐらいで短くて強力なバネなんて、簡単には無いんだよなー。特注するほどのものでもないし…

スプリングの強化方法としては、内側に細いスプリングを挿入して、ダブルで押す、という方法がある。しかし、これまたそんなに細くて強いスプリングなんて思い当たらない。でも、ここで普段の生活を振り返ってみた。

家の中には、手で押してポンプみたいな動作をするものがいくつかあって、そこにはスプリングが使われているはずだ。最初に思い付いたのはライターだ。これは子供がいたずらで使えないようにするために押しボタン部分が強力になっている。しかし、バラすのが大変そうで、更に危険な気配がするのでパス。

次に気が付いたのが、スプレーボトルだ。最初は、メガネクリーナーとかコスメとかで使っている霧吹き用の小さなボトルにスプリングが入っているのを見つけた。で、よく考えてみると、似たようなものは家の中にいくつかある!。不要になってバラせたものは、ケミカル用のスプレーグリップ(マジックリンとかのボトルのグリップ)、そして意外だったのがシャンプーボトル。このポンプの根本にも強力スプリングが入っているのだ。

ニッパーでプラスチックをブチブチちぎって取り出してみた。結果として、左側のシャンプーボトルのスプリングは大きすぎて使えなかった。右のスプレーグリップに入っていたスプリングが太さ・強度的にいい感じだ。長さが長いので半分ぐらいに切って使ってみた。

家の中で見つけた細くて強そうなスプリング。意外と見つかるものだ
取り出したスプリング。左側がシャンプーボトルの根本にあったもの。右側がスプレーグリップの根元に入っていたスプリング。どちらも結構強力だ。
スプリングを組み上げてみた。これで強力に押さえるはず
こんな感じでスプリングの内側にはめ込むことができている。元のスプリングより短めにしたので、締めこんだ時に同時に効いて、強力に押す力が発生する。これで完全に解決するはず…!

強化したスプリングをセットして、モーターカバーを外したままの状態で、色々試してみた。クランプを締めこんでみると、確かに今までよりも強い力がかかっている感じがした。ところが、その状態でウォームを回してみると、今まで以上に「んぎゃー」が多発したのだ。動かす向きにもよるのだが、結果として、相当に緩めて、ようやく「んぎゃー」が出なくなった。

これはおかしい。こんなに緩めてまともに動くはずがない。何かが違う…

ということで、スプリングは元に戻して、もう一度色々試してみた…。結果…。

少なくとも、私がたどり着いた結論は、「ウォームブロックを一度しっかり噛みこませてやれば、その後は押し付け圧を解放してもしっかり動く」ということだった。ヘタに押し付け圧をかけると、ベルトがスリップして「んぎゃー」が発生する。

つまり、クランプの締め方も、
「完全に締めこんだ状態からちょっとだけ緩める」のではなく、
「一度締めこんでギアがきちんと合わされば、後はしっかり緩めること」(ゆるゆるにしても、ギアは外れない)
「バランスは完璧に合わせること」
が大事なようだ。というか、これが正解だったはず。この正解にたどり着くのに、5年もかかってしまっているぞ(涙。三基光学さん、ちょっと教え方、まずくないッスか?

今回の試験を色々やって、さんざん「んぎゃー」を発生させた結果、ベルトに無理がかかってみたいで、少しガタが出るようになってしまった。この辺、ウォームブロックの問題も含めて、本当なら一度メンテナンスに出した方がいいのかもしれない。面倒なのでそのままになる可能性が高いのだが(^^;。なお、今回の結論も、はたして正解なのかどうかは分からない(いや、多分正解)。とりあえずクランプを一度締めた後、開放する形で運用してみると、比較的良好な結果が得られている。似たような苦労している方、いません?いないか…。


2022年12月4日 安価な反射を導入(MAKSY,VOYAGERMAK)


巨大なコンパクト反射(いやビクセンガチャが小さいだけ)MAKSY60
2020年年末セールでついポチってしまった巨大な(違:ビクセンR200SSガチャが小さいだけ)MAKSY60。中身が見られるのが最大の特徴だけど、コンパクトで軽くて手軽に使える
筒やら架台やら、なんかいっぱい増えてしまっている現状なのだが、実は2020年、2021年と小型の反射望遠鏡を導入してしまっていた。

元々、小型の望遠鏡っぽいのはいくつか持っているのだが、その昔便利に使っていた晴れ丸は2015年頃に後輩にゆずってしまったし、その次に観望用にスタンバイしているドナルド君は、持ち運び用途としてはちょっと大きすぎる。まぁ、12cmの屈折望遠鏡だからね…。後は光圀さんという手もあるが、こちらはちょっと高価すぎてお手軽に持ち出す、というのもはばかられたりもする。

なので、ちょっと手軽にお月様を見る、とかの場合にぱっと出してさっと片づけられるような、あるいは町中に持ち込んで簡単に観望会で使えるような小型の望遠鏡が欲しかったのだ。狙いどころとしては、SkyWatcherのMAK90G、口径9cmのマクストフカセグレンだ。時々セールで1.2万円ぐらいまで下がっていたのだが、次第にそこまでの安値ではなくなってしまった。2022年年末だと、通常価格で税込みほぼ2万円だ。

そこに出てきたのがACUTERのNEWTONYMAKSY60だ。いずれも学習用キットで、側面を開けると反射鏡や斜鏡含めた内部構造が見られる形になっている。しかも付属のプリズムやアイピースまで側面を外せば構造が見られるようになっているのだ。特に観望や性能そのものには関係ないが、非常に面白い。

三脚は付属しているものの鏡筒はプラスチックで安価な作りだ。口径がNEYTONYは5cm、MAKSYも6cmと小さいのでほとんど影響は無いのだろう。ただ、NEWTONYだとF4(焦点距離200mm)とやや倍率が小さすぎるきらいがあるのと、口径が少しでも大きい方が…ということで狙いはMAKSYだった。んが、価格が税込み1.3万円ぐらいする(2022年に更に値上がり)。これなら、ちょっと足してMAK90Gを買ってしまえば…となるわけだ。

しかし、世の中セールでどう転ぶかわからない。2020年の年末、歳末セールの中にこのMAKSYの「箱潰れ品(外箱なし)」が1万円以下でセールに出ていたのだ。前から欲しかっただけに、つい、買ってしまったわけだ。ただ、外箱はついてこなかったが、中身のスポンジとかはそのまんま送られてきたので、実行面では全然問題無しだった。小型の三脚をセットして、枕元に置いておけば「ああ、今夜は月が綺麗だな」と思ったときにそのままMAKSYで月を眺める。ついでにスマホでちょっと撮影、なんてことも手軽にできる。いや、これ、至福。なんせ重量420gほど。三脚込みでも片手でひょいと持ち上げてあっちこっちに持って行けるのだ。なお、購入したころには新型コロナも広がってしまっているので、以後活躍するであろう観望会などではまだ使えていない。

ただ、便利なMAKSYも、ファインダーが付属していなくて星の導入にはちょっと苦労した。しかも口径が6cmなのでどうしてもディープスカイは無理がある。なので、やっぱり10cmぐらいのマクカセは魅力的なのだ。

光軸ずれジャンクで安価に導入した今度は8cmのマクカセ
小海2021で買ってしまったボイマ君。8cmF10と、スペック的にも丁度良くてファインダーやケースなど付属品も多いのでできれば活躍させたい。見え味は結構良い。
そして昨年、小海 星と自然のフェスタ2021に参加した際、「せっかくイベントに来たのだからなんかお得なものを買いたーい」といらん欲求が抑えきれず、いくつか買ってしまった。買った筒は同じくACUTERブランドのVOYAGER MAK80(ヴォイジャーマックはちじゅう?)という口径8cmF10のマクストフカセグレン、またもや小型の反射望遠鏡だ。既にMAKSYの「もうちょっとだけ光を!」という不満を解消したかった自分には、8cmの口径は(少し足りないかもしれないが)結構魅力的で、価格もジャスト1万円と、なんとMAKSYと同じであった。

価格が安いのには理由があって、「光軸が合っていないのでジャンク扱いです」ということわりがあった。そのため、これだけお買い得な筒であるにもかかわらず、ほとんど売れていなかったようであった。

持ち帰って確認すると、筒の背面側に光軸調整用の押し引きネジがあり、これを調整するとそこそこ光軸が合っている状態になった(厳密に合っているかどうかは不明)。とりあえず月や惑星を見てみたが、変な収差があるような気配はなく、割とスッキリ見える。付属のアイピースやミラーをもうちょっと良いものに変更してやればもう少しきっちり見えるに違いない。

ボイジャーマック80ということで、縮めてボイマ君と呼んでおこう(MAKSYはもう、そのまんまマクシーでいいじゃないか…と)。ちなみに、このボイマ君通常F12〜16のマクストフカセグレンの中では明るい方で、F10となっている。MAKSYはF12.5の750mmなのだが、ボイマ君はF10で800mm。焦点距離や倍率はほとんど同じになったりする。

ボイマ君には付属品が色々付いていて、MAKSYと違って標準でファインダーが付属している(必ずしも使いやすいファインダーではない…)。天頂ミラーとアイピース二つ、スマホアダプターはMAKSYと同じだが、これにキャリングケースまで付属してくる。まぁ、ケースが便利かどうかは微妙なところだが、アイピース等の付属品をまとめて保管できるのは便利だ。

これまた観望会とかに使えていないのはMAKSYと同じだが、大活躍するのは月食の時。光圀さんで撮影している傍らでボイマ君を展開して月を眺めていると、丁度良い感じ(40倍)で綺麗に、クリアに見えるのだ。月面観察用としてはかなりいい感じのボイマ君だ。この見え味や性能に関しては色々あるかもしれないし、使っている事例もあまり見かけないのだが、例えばnabeさんなんかは絶賛している

重量1.2kgと、MAKSYに比べるとどうしても重くなりがち(口径30%アップで重量3倍…)だが、ケースも活用して移動用観望筒としてうまく使ってやりたい。



2023年1月15日 ついに冷却モノクロCMOS ZWO ASI1600MMCool


ついに導入してしまった冷却モノクロCMOS
2021年年末に、機会があってついに導入してしまった冷却モノクロCMOS、ZWO ASI1600MM Cool。旧機種ではあるが、自分としてはこれまでの一眼レフデジカメと一味も二味も上の画像が得られるに違いない…と錯覚してしまっている
あれは確か2021年の10月の末頃だろうか。既に1年以上前の話だが、いつもLINEで天文談義をしている某S氏が、新しい冷却CMOSを買いたい、誰か僕のASI1600MMcoolを5万円で買ってくれないかなぁ、と呟いてしまったのだ。

もちろん即座に反応はしたものの、実際に買うかどうかは微妙なところだった。そもそも天体写真専用のカメラとして、既に赤外改造(HKIR)KissX9(i)が2台ある。更に惑星用としてASI183MCがあるので、これ以上カメラを増やすのもなぁ、と、一応理性が働いたのだ。いずれ冷却CMOS(…今ならカラーか?)が欲しくなる可能性は高かったのだが、もうちょっと先だと思ってたのだ。

しかあし!中古を安く手に入れるチャンスはそうそうあるものではない。今更ASI1600か、という話はあるが、冷却モノクロCMOSでフィルターワークを活用すれば自宅からでも結構撮影できるんじゃないか、という思惑も働いた。どうする?買うしなら今しか…と悩んでいたら更に友人から背中を押す話が飛んできた

モノクロCMOSを買っても、実際に撮影するためにはフィルターホイールやフィルター、撮影用のPC、そして冷却CMOSならそれなりの電源などなど、が必要になる。電源は何とかなるとしても、遠征にPCを持っていくのは何かと面倒だ。が、友人曰く
ASIAIRで撮影すればPCいらずですよ。オートガイド含めてこれで行けます。私はASIの新しいカメラをASIから直で買うので、一緒に注文しましょうか?」
い、いかん。こんなの千載一遇のチャンスじゃないか!これを逃したら冷却CMOSを買うことなんて二度と…

プチッ(何かが途切れる音)

ここで私の記憶は飛んでいる。どうやら、当時国内では入手困難だったASIAIRも含めて買ってもらうことになったようだ。冷却CMOSカメラ(中古)とASIAIRとフィルター、フィルターホイール込みで、だいたい15万円弱ぐらいだったかと思う。普通に新品を購入するとカメラだけで10万円以上になるので、結構お得に揃えられたとはいえ、少々想定外のタイミングでそれなりの出費にはなった。

実際にはASIAIRの入荷にしばらくかかったのだが、相談から1ヶ月ほどで無事に手に入れることに成功した。これで2021年の年末には夢の冷却モノクロCMOS生活がスタートすることになったのだ。

この、夢の?冷却モノクロCMOSカメラ生活がスタートした2021年年末。ただ、実際に撮影を進めるのは実は簡単ではない。ガイドカメラにSSAGが使えないかな?と甘い期待を抱いたのだがそれは打ち砕かれてしまった。接続した所でASIAIRがSSAGを見つけてくれない(意図的にはじかれている?)のだ。うう、これが噂の「ZWOロック」か。仕方がないのでASI120MMminiと、忘れていたEOSのフィルターホイール用のカメラマウントを慌ててKYOEIさんに注文することになった。これも比較的早く届いた。よし、これで冷却CMOS生活スタートぢゃ!

フィルターは今流行りのナローバンドもやってみたいが、まずは基本の撮影ができるようになってからということでASIのLRGB4枚セットを購入した。大きさはちょっと余裕を見て36mmの7枚ホイールだ。この辺、実は31.7mmフィルターでも良かったかもしれん。ただ、7枚ホイールにしたので、後からナローバンドを足すことも可能だ。ケラレるかもしれない、ともんもんとするより、少し余裕があった方がよかった、ということにしておく。

電源は以前購入したSuaokiのS270だ。一晩使うにはやや心許無いが、電源→ASIAIR→冷却カメラと繋いでも今のところ問題なく使えている。寒い日や長時間使うと、ASIAIRの電源監視で見る限り、11Vから、ヘタすると11Vを切るレベルまで電圧低下が起きているので、この辺少し不安と言えば不安だったりする。そのうちもうちょっとしっかりした電源にするかもしれない。

筒への接続はEOSカメラマウントを介して行う。強度とか若干不安はあるが、これなら今まで組んだことのあるシステムに、まず間違いなく接続できるし、実用性はとにかく、カメラレンズも接続できるはずなので重宝できる…と思う。

とりあえずのハードウェアとしてはこれぐらいだ。あとは初めての冷却モノクロカメラをコントロールするためのソフトウェアになる。その部分はASIAIRに任せるつもりだ。さてさて…



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