inserted by FC2 system

自宅からの撮影を進める
今日も曇天

<=今日も曇天20 今日も曇天・Index 窓際天文台MENU

玄の館トップページに戻る


 小学生の頃から慣れ親しんできた天体観測だが、始めた頃から、「これは一生の趣味になるだろうな」という気はしていた。紆余曲折を経て、未だにあれやこれやと思い悩む天文おっさんになってしまいつつ、天体写真にまつわる顛末を記録してみた。「曇天」なのは、晴れればこのページを書いている暇が無い訳で、曇って星が見えない日に書いているから。例によってトラブルも多数…(^^;

2024年1月26日 最小最軽量の自動導入経緯台?ACUTOR トラバース(購入2023年12月)


すごくコンパクトだけど頼れるヤツ
コンパクトでちょっと頼りなげにも見えるけど意外と使える上にコスパがいいトラバース
時は2023年年末。年末の声が聞こえてくると多くの店で年末セールが開催される。天体望遠鏡ショップも例外ではない。そんな中でも12月初旬に開催されたサイトロン感謝祭セールはちょっと特別だった。ネット上では原則価格は表示されず、店舗での現金払いのみという形だったのだ。普段あまり訪れないショップだったので久々にちょっと行ってみようと、現金を握りしめて行ってみた。ガイド鏡の安いのがあればなぁ、ぐらいのつもりだったのだ。

が、現地に行ってみると機種は限られるものの思ってたよりも多くの製品が定価の半額前後で特売されている。こっこっこっこれはああぁ!?と驚き戸惑い、気がつくと多くの製品をもらった段ボールに詰めてヒイヒイ言いながら電車に乗ってる自分がいた。我ながらよくやる…

そんな中購入した一つがACUTER(アキュター)のTRAVERSE。小型自動導入経緯台だ。原則スマホで操作するタイプで、小型ということもあって搭載重量は2.5kgまでと結構制限は厳しい。ただ、同時に展示品箱無しで半値のスタークエスト80SSも買ってしまったのでこれに単3電池4本とスマホがあれば観察できてしまうフルセットが買えてしまった。筒とトラバースセットで4万円以下だったのでかなりお得だ。まぁ、筒はボイマ君も同じ値段だったしそちらの方がACUTERセットになるのでそっちの方が良かったかもというのは秘密だ。

トラバースの方に戻ろう。本体は直径10cmほどの小さな筒状で、これに単3を2本x2箇所の4本入れて使う。筒の接続はビクセン互換のアリミゾがサイドに付いているのでここに筒のアリガタを付ける。あまり強度は無さそうだが耐荷重2.5kgなのでバランスも含めてこれぐらいがちょうどいいだろう。アリガタ固定ネジの脇に垂直方向のクランプねじがあるが、コレがあまり丈夫では無いらしく、ネット上ではねじ切って壊してしまっている人もちらほら。元々重量級を支えるものでは無いのでそうっと扱うのが良さそうだ。

本体底部には3/8インチのカメラネジがあってこれで三脚に固定するが特筆すべきはその三脚、キャリングソフトケース込みの、一式セット製品ということだ。三脚も結構しっかりしたもので、望遠鏡が当たらないように割と頑丈なセンターポールも付いている。これで定価で3万円ぐらいなのだから結構お得だ。

また、この付属三脚は取付部にフランジがあってそこに3つほどイモネジがある。カメラネジで付けた後でこのイモネジを締めてテンションをかければしっかり固定できる仕組みのようだ。


三脚を広げて設置もできる
三脚は結構しっかりしていて足を広げての設置もできるしセンターポールの伸縮もできる。電池ケースは片側2本で、2か所付いていて単三電池4本で動く。ボールペンは大きさ比較用。
実際に筒を乗せて操作する場合、このトラバースの場合専用ソフトACUTER Sky を入れると、トラバースとBluetoothで繋げられるのだ。正直これは便利。アクセスポイントをいちいち探さなくていいし、接続したままネット検索等も普通にできるのでかなりお気楽なのだ。全ての架台接続はこうあるべきでは?と思ってしまう。

が、だがしかし、である。

まず接続先のトラバースの名前は変更できない。割とランダムな名前が割り当てられているので覚えにくいし、観望会とかで複数台があると勝手に接続されて困ることもある。後、割と頻繁に途切れる。スマホのスリープ何かとの兼ね合いもあるんだろうが、他のアプリを開いたあと変だなと思ったら切れてたりする。後はこのソフトの使い勝手も問題だ。最初のアライメントはスマホの方位システムを使ってかなり便利に合わせるのだが、コレスマホ(タブレット)が方位システムをを持っていなかったらどうするんだろう?

そしてそこからは対象を導入してアライメントを行い、導入精度を上げていく。ただ、この際に導入する対象を星、二重星、彗星、ディープスカイから選ぶのだがこれがどうにも…

「星」の項目に惑星や月が入れられているのはまだ許せるが、なんか探しにくい。最後はディープスカイでM35を入れてみよう、と思ったら…無い!改めてリストを眺めてみると、青い雪玉星雲や、果てはステファンの五つ子まであるのにメシエの手頃な星団とかがゴッソリ抜けててなんか変だ。どうやら別名のある対象だけを抜き出しているみたいで、とにかくアンバランスなのだ。彗星なんかはやたらいっぱいある。二重星は面倒なので確認していない。なお、導入手段はこのリストしか無く、数値入力や数字のフィードバックも無いため、ファインダーが貧弱な場合はリストに無ければ詰みである。

この他にも、導入するためちょっと長めに方向キーを押してたらそのまんま止まらなくなって電源切るしかないとか、やたら制限や不安定なところがあって使いにくいのだ。ただ、そのためなのかどうかは分からないが、このトラバース、WiFi接続によるSynScanProによる操作に対応しているのだ。まだ接続までしか試していないが、こちらで安定的に使えるならまだマシかもしれない。ただ、この方法はマニュアルには載っていない。どこまで不親切やねん。

…いったん落ち着こう。いずれにしてもこのトラバースの軽さとお手軽さは捨てがたい。観望会などで小型望遠鏡に月や惑星を導入しておいて見て貰う分には十分便利だと思う。追尾してくれるのはいい。

後は、実はSamさんなんかもチャレンジしているが、外部から操作できるらしい。PCにつなげてプレートソルビング&電視観望できると、可能性は一気に広がる。個人的にはASIAIRに接続してプレートソルビング&自動導入&電視観望ができるとすごく手軽な気がするが、2023年年末時点でASIAIRが対応していないようなので、きちんと動いてくれない(USBの有線接続でSkyWatcher系架台として認識はできるようだが、トラッキングしてくれないなどちゃんと動かない)ため、まだ実現はしていない。この辺、T-Studioさんのブログが詳しいが、AISIAIRのアップデートで改善される可能性もまだ残っている。この辺はZWOさんにちょっと期待しておこう…。



2024年1月31日 高性能短焦点ASKAR FMA180(購入2023年12月)


口径4cm超小型高性能屈折望遠鏡
つい買ってしまった口径4cm超小型屈折高性能望遠鏡FMA180。180mmのマニュアルレンズともいう?
2023年12月のサイトロン感謝祭を訪れた際、「おお、これは買わねば」と思ったものが多数あったのだが、その中の一つが今回のFMA180(Proではない方)であった。もともとはこうしたセール時に「ガイド鏡の手ごろなものが無いかな」と思っていた。が、実際には口径50mmぐらいの安価なガイド鏡というのはなかなか無くて、やっぱり1万円前後で導入するしかないかな、という感じであった。

ただ、以前Amazonで安価に買えた50mmF4.0のガイド鏡は、本当にガイド鏡として使うにはまぁ、一応問題ないのだが、周辺部の星像などはあまりよくなく、ガイド制度にも影響あるんじゃ…と思うレベルだったりするので、もう少しいいのが無いかなぁ、とも思っていた。EDレンズを使っていて電視観望にも使えるSkyWatcherのEVOGUIDE 50EDなんかはなかなか良さそうだけど、現状(2024年始)では税込み38,500円もして、ちょっとなぁ、というのが正直な所だ。

話を戻そう。当日店頭で見かけたFMA180だが、既に発売になって好評を得ている>FMA180Proとの差をよくわかっていなかった。光学性能はほとんど変わらないで、使い勝手のみ良くなっているものと勘違いしていたが、実は光学系も一新されていて、proの方は写りもかなり良くなっているらしい。細かくはチェックできていないのだが、違いはレデューサー部分にありそうで、効果的に星像がだいたい倍半分ぐらい違いそうだ。ただ、FMA180Proの方は撮影レンズに特化した仕様になっているため、ガイド鏡や望遠鏡としての使用方法は想定されてなさそうだ(ピントが出ればガイド鏡としては使えるだろうが…)

それでも、EDレンズ2枚使用の3枚玉のFMA180なら、多少のハロはあるもののそれなりの写りを期待できる。かつ使い方によっては焦点距離220mm(F5.5)の高性能ガイド鏡としても使えるし、割とミニマムな電視観望キットなんかとして使えるのではないかと期待してしまう。ちなみに、Proの方はレデューサーを外すことができない?ので、180mm撮影用一本として使うしかない(その分性能がいいわけだが)。バラして220mmの望遠として使ったり眼視用としても使えたりするのは旧FMA180だけの特典だったりする。

そのEDレンズ2枚、3枚玉+レデューサーキットとなっているFMA180、元々の価格が6万円以上なのだが、Proが発売になっていることもあって在庫放出状態。半値以下で当日は税込み3万円というかなり安価な価格であった。この「安い」というだけであれば、もしかしたら買わなかったかもしれないが、実は直前にカメラレンズでの撮影を試すという撮影をやっていた。

この時の結果が「絞れば写りは良いが絞り羽の関係で星がウニウニになる」「ズームレンズが古く、スケアリングか何かがおかしく、画面の上半分の星が線になる」という不具合が確認されていた。ズームレンズの大きなものを無理やり絞って使うよりも、こうした小型高性能レンズで運用すればいいじゃん、というのが購入の後押しとなった。最悪撮影鏡としていまいちだったとしても、ガイド鏡や電視観望用として活用できれば元は取れるゼ、という甘い考えだ。当日は現金のみの特価だったのだが…いやまぁ、そんなに現金は持ち歩くもんじゃありませんね(^^;

買ってきたFMA180、元が6万円以上するコンパクトなレンズということもあって梱包は非常に丁寧だ。使うときはあんまし関係ないのでさっそく組み立てて、アルカスイス仕様にして、ASI585MCをセットして撮影開始である。実はこの頃からASIAIRの望遠鏡制御を使い始めたのだが、とにかく導入が簡単。しかもFMA180ならフォーカスも操作しやすいということもあって撮影がはかどるはかどる。天気さえよければ撮影結果がどんどん得られるようになった。ただ、写りを確認してみると、青ハロが結構目立つ

ズームレンズをF4に絞って使用
ズームレンズ、70-200mmF2.8をF4.0に絞って撮影して上半分をトリミング。星がウニウニになるし上の方は星が線になっている
FMA180で撮影
FMA180になると少し明るい星は青ハロが大きくてボテッとしている。むむぅ。
ピントの追い込み方等によっても多少違うかもしれないが、1インチ以下のCMOSであるASI585MCで淡い星雲を強調していくと、同時に輝星周りの青ハロも強調されてちょっとボテッとしてしまうのだ

結果として「これなら十分使えるゼ」というところまでは行けない感じだ。APS-CぐらいまでのCMOSでそれなりの広さを確保すれば、もうちょっと青ハロのイメージ程度を抑えられるかもしれないし、赤い色だけのQBPフィルターやロードスター(NB-1)を使えばしっかりした星像になってくれそうな気がするが、そこまでするならもういっそのことSIGMA150mmMACROをF4ぐらいまで絞って使った方がいいんじゃね?という気もする。

ただ、固定方法やフォーカサー等の作りはしっかりしているので、今後どんな風に活用していくかはちょっと悩んでいるところだ。撮影主体の筒として使うには悩ましいので、フィルター前提にするか、電視観望用にするか、ちょっと高性能なガイド鏡を主体とするか、天頂プリズムを付けてポケッタブルな望遠鏡として使うか…(AskarのHPでは本当にポケットに入れてある図もある…)。簡単に組み合わせを変えられるようにして、それぞれをちょこちょこ使えるようにしたいというのが実際だ。今度どこかで眼視に使ってみるかなー。



2024年2月4日 環境は整った!赤道儀をリモートで操作せよ!



これまで十分に対応できていなかったが、COMOSカメラとASIAIRを使えば、赤道儀をリモート制御してむちゃくちゃ便利に使える。写真は本文の構成とはちょっと違うが、プロミナー指令にASI1600MMCool、ASIAIRminiとCEM25ECをセットした組み合わせ
2023年12月のサイトロン感謝祭でFMA180を買ってしまい、ついでにCMOS(ASI585MC)や赤道儀まる子(iOptron CEM25EC)をASIAIRに接続して撮影したら快適すぎて感動したという話だが、もう少し詳しく説明しておこう。 元々、ASIAIRはASI1600MM Coolを導入した際にPCに接続しなくても簡単に撮影できるように、と導入したASIAIR Plusだ。その際、赤道儀にも接続できるかも?とiOptron赤道儀接続用のUSB-シリアル(4ピン)変換ケーブルを購入していた(リンク先はamazon)。今見直してみると2022年の冬だ。もう2年近くも使わないままでしまい込んでいた。一つはこれまで一眼レフカメラ主体で撮影していたのと、そーんなに便利には使えないだろうと勝手に思っていたというのがある。もう一つは、実際の接続はテストしていなくて、ちゃんと繋がってコントロールできるかどうか不安だったからだ。家でテストしておけばいいのだけど、面倒でしていなかったし、遠征先でいきなり使ってみるといったリスキーなこともしたくなかった…。いやごめんなさい。面倒だっただけです。はい。

ということで、面白いのはここからだ。FMA180にASI585MCをセットし、ガイド鏡として75mm F2.5のCマウントカメラレンズ+ASI120miniをセットして同架。更にASIAIR Plusをセットして2台のカメラに接続する。更にシリアル変換ケーブルを介して赤道儀コントローラーに接続すると、ASIAIR(タブレット)からカメラ、赤道儀、ガイドシステム全て制御することができるようになる。オートガイドカメラと赤道儀を直接接続する必要はなく、AISAIRのマウントでiOptoronのCEM25を選べばあっさり繋がってしまった。え?こんなに簡単でいいの?というぐらいだ。

 そして、こうなるとASIAIRから「何でもあり」状態になる。(さすがにEAFは付けていないのでオートフォーカスは無理。)。まず赤道儀を庭の星見台(ウッドデッキ)にセットして大まかにピントを合わせてプレートソルブができれば、天頂〜西空のスキャンで、北側が見えなくても極軸セットができる。ドリフト等で長々と追いかける必要はない(精度は知らん)。続いてプレートソルブで自分(赤道儀)が向いている方向を認識させてシンクロ(アライメント)。後は星図から好きな対象を選んでGotoすれば正確に構図合わせまでできてしまう

後は現地でピントを合わせてオートガイドをスターすれば、好きな対象を撮り放題となるわけだ。WiFiの電波が届く範囲(そんなに広くない)であればタブレットで撮影状況の監視ができる。蚊に刺されながら振動に注意してデジカメの液晶を確認…とかしなくていいわけだ。いやこれは便利すぎでしょう。実際にはそれなりに光害のある住宅街だし、セッティングや片付けにも時間がかかるので制限はるのだが、フィルターを駆使すればそれなりの結果は得られる。これまで撮影対象を導入するのに四苦八苦していたことを考えると、恐ろしく便利で、こんなにお手軽でいいんだろうかと言う不安さえ感じてたりする。

このまる子をリモートコントロールするメリットのもう一つは、ハンドコントローラーに触らなくても良くなることだ。元々まる子のハンドコントローラーは若干使いにくく、さらに液晶表示が遅くて見にくいので特定の星や星雲を導入するときにはかなり苦労していた。アライメントで2等星を選ぼうとした日には、もう星名が分からない上に延々スクロールさせられて何度心が折れたことか…。

さらに、元々6ピンのコネクタの接触が悪く、良く接続不良になっていた。ハンドコントローラーの向きとかで接続が切れてしまったら、また電源ON/OFFとアライメントからやり直しである。後は構図を合わせてシャッター押すだけ、というような段階でそうなると、これまた心折れてしまう。が、ここにASIAIRでのリモートコントロールが来ると、シリアル接続したハンドコントローラーをどこかにしっかり置けば、後はハンドコントローラーを一切触らなくてよくなる。接触不良のリスクともおさらばなのだ。おお、すごいぞ。

ということで一度このらくちんさを味わってしまうと、もうこれ無しでは撮影する気がうせてしまうぐらい便利になってしまった。後は一眼レフでも同様にプレートソルビングと蚊ができるのか、一度USB接続して試しておかねば、というところだ。いずれAPS-CセンサーのCMOSカメラを買ってしまうとは思うが(^^;、それ以前に広い画角と便利な自動導入ができるのなら一眼レフカメラでのプレートソルビングもアリだとは思う。

ということで、すっかりASIカラーに染まってしまった自分の環境だが、まだしばらくはこのまま赤い物体が増えていきそうな気はする。さてさて…。



2024年2月7日 もっと小さく便利に! ZWO ASIAIR Mini (導入2023年12月)



ASIAIRはすごく便利なことが分かったので、オートガイドシステムとしてもう一つASIAIRを入れることにした。LAN端子が無くていいのなら思いのほかコンパクトなMiniでいいみたい
ASI1600MMCoolと同時に導入したASIAIR Plusで、CEM25ECが直接制御できると、プレートソルブを使っての導入がむちゃくちゃ便利だということが分かったのと、オートガイドシステムとしてのASIAIRがかなり使えるということが分かってきたので、これまでのラズパイでのオートガイドを終了して、全体のシステムをASIAIRで構築することを前提に進めることとした。

なーんとなくZWO社の戦略に乗せられちゃっているのが気に食わないが、便利なんだからしょうがない。ただ、ASIAIR Plusをもう一台導入するのもなかなかに厳しい(税込み約5万円)。ただ、ASIAIR Plusを導入しなくても、小型版のASIAIR Miniが出ている。USBの数は同じく4つなのだが、全てがUSB2.0になっているので高速転送出ないのが気にはなっていた。

ただ、小海の星まつりでも実際に使っている人の意見を聞いてみると、Miniでも全く問題ないらしい。Lanコネクタが無いのでみぞかさん(AXJ)には使えないが、それ以外の点で見劣りすることはほとんどないようだ。ライブスタックに制限があるようだが、そんな用途に使わなければいいだけだ。それなら小型で安価なASIAIR Miniでしょう、ということで少し悩んでいたが、結局2023年の年末にセールをやっている間にということで税込み約3万円で12月中旬に購入してしまった。KYOEIさんありがとう。

梱包物も電源ケーブルの数が少ないとか、少し省略されている形だが、あまり影響はない。それよりも実際にモノを見てみるととくかくコンパクトだ。片手にすっぽり、とまでは行かないが、軽くつまめるぐらいの大きさとなっている。赤道儀への搭載方法は色々あるが、私は1/4インチネジを利用してクランプ接続で鏡筒のアリ型等に固定している。こうすることでカメラやガイド鏡に近い位置に設置できるし、必要ならウェイト軸に固定することも簡単だ。

少し使ってみて「これは!」と思ったのがWiFiの安定性だ。とにかく安定していてそれなりに電波が届くのである。というか、比較するASIAIR PlusのWiFiが貧弱だと思った方がいいのかもしれない。これまで使っていたASIAIR Plusは、窓ガラス一枚隔てると急激にWiFiが弱くなり、タブレットを置く範囲が制限されたりしたものだが、Miniの方はそんなこともなく、部屋一つ分ぐらいまではなんとか電波が届くし、途切れることも少ない。安定性がかなりマシ(というか普通に?)なったというイメージだ。

後は気になっていたのは「一つのタブレットで2台のASIAIRを使えるか?」という問題だが、これも問題なくできそうだ。1台をセットアップして撮影開始すれば、アプリを半分終了して接続前までもっていき、WiFiを切り替えて次のAISAIRに接続すれば問題なくそちらを制御できる。相互に影響することも今のところ無さそうだ。同時に見たり、パッパッと切り替えて使う、ということはできないが、ゆっくり切り替えるというレベルであれば十分行ける。本当は2台のタブレットとかがあった方がいいのかもしれないが、その分充電含めて管理すべきものが増えるので必ずしもいいとは限らない。まぁ、スマホでやってもいいのだが、その辺はまたおいおい考えよう。普段家で宅撮りする際は1台しか使わないし、遠征でも今のところ2台使えれば十分なので、現状では問題ない。

そうそう、遠征先では他の人のASIAIR等とカブるかもしれないので、アクセスポイントとしての名前は分かりやすいものに変えておくことをお勧めする。2台以上使うときはそれぞれの名前を変えるのももちろんだ。ちなみに、アクセスポイント名やパスワードを変更した時は、アクセスポイントとなるASIAIRへのWiFi接続し直しが必要になる。パスワードは忘れないように注意が必要だ。

後は、自動導入できないEM姫(EM-200)をどうするか…。今の所庭撮りの場合は小型赤道儀で済む場合でもEM-200を引っ張り出しているので、追尾精度はとにかく、プレートソルブ等を活用した自動導入システムとしてはASIAIRの力が存分に発揮できていない。まる子を引っ張り出してもいいのだが、三脚を展開しなければならず、極軸を合わせることを考えると手間としてはむしろ増えてしまう。ピラーにまる子を乗せられるようにするか、みぞかさんをもっと気楽にピラーに乗せられるようにするか、それとも…ちょっと悩ましい所だったりする。



2024年2月10日 ガイドが暴れるEM-200修理 (修理2023年12月)



とにかく分解してベアリングの与圧を緩めることができるかどうか確認するため、カニ目レンチを購入してスタンバイ。年末休みの中でのまな板の上のEM-200
2023年の11月まで、普段ニワトリで撮影するための星見台(ウッドデッキ)で活躍していたのは、EM-200B赤道儀だ。これを中古で入手したのは2013年なので、既に入手して10年、製造からは30年ぐらい経っているんじゃないかと思う。多少古くてもさすがのタカハシで、多少重いところを除けば1)全幅の信頼のおける赤道儀の一つだ。…が、2021年にオートガイドの改造を施してオートガイド撮影をしてみると、意外とうまくいかないことが多い事に気が付いた。この辺で色々チャレンジしてるのだが、赤経方向に時折大きくガイドをずらして、結果うまくいかないことが多い様だ。この辺、EM-200の限界なのか(いや、さすがにそれは無いだろう)、寿命的に厳しいのか、悩んでいたのだ。

悩んでいる間に11月にちょっと手術を受けることになって(これは私自身の方)、その後ひと月ほどはあまり無理ができないので、EM-200の代わりにまる子を星見台に出してASIAIRに接続して使ってみると

「うおお、ASIAIRで赤道儀制御してプレートソルブするとむちゃくちゃ便利じゃねえかぁ!」

…という状態になって今に至る。この間EM-200をほとんど使えていないのだが、このままお蔵入りするにはちょっともったいないよなぁ、と思って2)少し調べてみた。

さすがに2023年になるとこのEM-200の古い機種に関する情報は相当減っているのだが、先のオートガイド改造でもあったように、いくつかのヒントは散らばっている。まぁ、つべこべ言わずにタカハシにオーバーホールしてもらいなさい、というのが正解だとは思うのだが、費用や時間を考えると、とりあえず色々試してみたくなるというものだ。

ちなみに、参考にしたのはこんなところ(敬称略)
レレレの星おじさん
星羊翁 星見庵日記
K-ASTEC「ウォーム軸受けのベアリングに思うこと」

読んでみると、これらのページでは赤経体をバラすところまで実施していてオーバーホールに近いのだが、共通しているポイントとしては、赤経ウォーム軸受けのベアリングの与圧が強くなり、ピンピン跳ねるようにガイド不良が起きるということ。この与圧を与えている部分はエンコーダーを付ける部分になっているようで、「比較的簡単に」バラすことができる3)。与圧を緩めるだけなら、赤道儀をほとんどバラさずに行けるのだが、今回はその効果を見るうえでもモーターまではバラすことにした。

ただ、手持ちの工具では足りない。どうせ今後も必要になるだろうからということでamazonさんでカニ目レンチを購入した。2千円弱。これならもっと早く買っておいた方がよかったかもしん…。ようやく時間ができたので確認作業を開始するぞ、というが最初の写真なわけだ。

まずはエンコーダーを取り付ける銀色の蓋の部分をカニ目レンチの尖った方でバラす。割と簡単。中にはウォーム軸と与圧をかけるネジが見えてるが、このネジ部分は緩み止めが塗られている。ちなみにウォーム軸の反対側も開けることができるが、そちらはベアリングが見えているだけなのでそのままそっと元に戻した4)。ただ、隣に気になるマイナスネジがある。はて、これは…?

続いて与圧を変化させたときの効果を見るためにモーターをバラす。コントローラーパネルを外してモーターコネクタを外すと、奥に2本のネジがあるので、躊躇しながらもこれを外して奥歯に手ぇ突っ込んでガタガタいわしたったらなんとか外すことができた(ヲイ5)

ただ、ここまでバラしてもウォームネジやウォームホイールを見ることはできない。モーターのギアの伝達部分に、ウォームのギアがほんのり少し見えているぐらいだ。ただ、手ぇ突っ込んで奥歯…じゃなくてこのギアを回してみるとなんとか回る。ちなみに、赤緯側のギアを回してみると、スルスル回る!?。この差はなに?というぐらい違いがあるのだ。やはり赤経側は重くなっている…んだと思われた。

エンコーダー側の蓋を取るとウォーム軸が見える
赤経側のエンコーダー用の蓋をカニ目レンチを使って外してみた。ウォーム軸とそれを抑えるネジが見える
ガタガタ言わしてモーターを外してみた
本来は外す必要は無いのだが、効果を見たかったのでウォームネジの回転状況を探るためにモーターを外す。なかなか外れないので手ぇ突っ込んでガタガタいわした(^^;
モーターを外した後のハウジング。がらんどうだが、実は奥にウォームギアがちらりと見える?
モーターを外したハウジング内。がらんどうだが、上と右下のスリットの奥に実はウォームへの伝達ギアがあって、ギリ手で回すことができる
ということで、カニ目レンチの平らな側(マイナスドライバーみたいなの)を当てて赤経側の与圧ネジを緩める。緩み止めが塗られているが、まぁ、その分しっかり固着して結果として悪さをしているんだからそんなもんは無視。えいっ!と力を入れるとなんとか動いた。。1/4回転ぐらい緩めると、あとはゆるゆるだ。その状態で赤経ギアを回してみると

…なんということでしょう…

…というほどではないのだが、かなり柔らかくなっていた。グリスや加重の関係もあるとは思うが、ぬいっという感じで程よい重みがある。ちなみに与圧ネジを元の位置ぐらいまで強めに締めてみるとかなり重く、ザラついた感じになった。やはりここは少し緩めた方が良さそうだ。

後は簡単に緩まない程度まで軽く締めて、元通りに組み立てて行けばよい。この時気になるのがモーターとギアのかみ合わせだ。蓋となるコントロールパネル側からだとモーターを設置するとギアのかみ合わせは全然見えない。これでどうやって調整を…?と思ったところでピンときた。先に見た反対側のマイナスネジのところだ。

赤道儀の反対側に何やらマイナスネジが…
赤道儀のコントローラーパネルの反対側。マイナスネジがあるのは何…?
マイナスネジを外すとギアのかみ合わせ部分が見える仕組み
実はこのマイナスネジはキャップになっていてこれを外すとウォームギアとモーターギアのかみ合わせ部分が見える仕組み。これを見ながらモーターを組み込み
これを外すと、実は単なる穴になっているのだが、それがギアのかみ合わせ部分を丁度覗ける位置になっているのだ。赤緯、赤経の位置を確認しながら(と言ってもギアに当たる側に押さえるだけだが)モーター固定のネジを締めて出来上がりだ。6)最後はハンドコントローラーと電源を繋いでスムーズに回るのを確認しておしまい。

本当はウォームホイールまでバラしてグリス交換とか当たりの調整とかすればいいんだろうが、その辺は赤経体をバラさなければならないので大仕事になる上、ヘタにいじるともっと大変なことになりそうだったのでとりあえずは与圧を緩めただけにしておいた。カニ目さえあれば、ちょちょっといじるだけの簡単な調整だ。もしこれ以上解体するなら、もうオーバーホールに出した方が正解な気はしてたりする。さて、後で緩み止めは買っておかないといかんかな。木工ボンドで行けんかな…。

ということで、2023年年末までのハードウェアのお話は完了。この後、2024年になってからEM-200でのガイド撮影をチェックしてみたが、これまでのような突然の赤経側の乱調は鳴りを潜めて比較的しっかりガイドできているような感じになった。ただ、これはあくまで赤道儀側の話だ。実際には鏡筒のたわみや各所の緩みなどなど、ガイドエラーの問題はまだまだ続きそうな気配がはっきりしてきた。綺麗な星空写真を求める旅はまだまだ続く…

1) 重量約16kg、とは言え、遠征に使っているAXJ(17.4kg)よりは軽いんだが…
2) 新しい赤道儀を検討しているのはまぁ、公然の秘密です。あんなのとか、あんなのとか…
3) 簡単とは言え、カニ目レンチは必須と思った方がいい
4) 恐らく、こちら側からウォームを引き抜くのだと思う
5) ギアとモーターが入っているケース内が狭く、ギアが引っ掛かりやすいのでなかなかすんなり抜けない。ついガタガタいわしてしまったりする
6) 本来はこの固定でギアが全周すんなり回るかは、しっかり確認が必要だと思う。面倒なので、んなことはしてないが…



<=今日も曇天20 今日も曇天・Index 窓際天文台MENU

玄の館トップページに戻る