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1100m寒風山で星浴三昧
今日も曇天8

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 小学生の頃から慣れ親しんできた天体観測だが、その頃から、「これは一生の趣味になるだろうな」という気はしていた。紆余曲折を経て、未だにあれやこれやと思い悩む天体写真、その顛末を記録してみました。「曇天」なのは、晴れればこのページを書いている暇が無い訳で、曇って星が見えない日に書いているからなんです。トラブルも多数…

買ってしまったプロミナーセット
買ってしまったプロミナーセット。合わせて24万円なり。ちーん。消費税増税前に思い切ってしまいましたが、値段だけの仕事はしてくれています。

2014年8月16日 超高級MFレンズ?写真鏡?プロミナー指令と五郎


 時は2014年3月、それまで「いいなぁ」と思っていた天体撮影用のレンズを、ついに手に入れることにした。そもそも、天体撮影用のレンズというと、比較的最近導入したSIGMAの150mmF2.8がある。これはこれで青ハロも赤ハロも出ない、非常に素直な描写ができるマクロレンズとしてとても重宝している。しかし、焦点距離150mmというのはいささか心許ない。本格的な星雲星団を撮影しようとするとやっぱり足りないのだ。

 長い焦点距離で言えば800mmクラスになると、R200SSジェルドン君がある。ただ、ここまで超焦点になるとオリオン大星雲やバラ星雲なんかがはみ出してしまう。欲しいのはやはり300〜400mmクラスのレンズ。この辺になると、反射望遠鏡ではムリで、やっぱり屈折レンズが必要になる。

 カメラレンズだとこのクラスは高価なものになるか、望遠鏡で高級なものを選ばなければならなくなる。今までの所屈折望遠鏡はガイド鏡を含めて4本ほどを所有してきたが、すべてアクロマートで、EDやフローライトのアポクロマートは持っていなかった。この際だから、80〜90mmクラスのアポクロマートをひとつ買ってもいいんじゃ無いかと思うようになってきた。

 以前、円安の頃にはEXPLORE SCIENTIFICの127mmカーボン鏡筒トリプレットが25万円以下であったりしたので、「これ欲しい…」と思ってたこともあったのだが、いかんせん焦点距離が952mmと長いので躊躇してたら、円安に進んだため、足下は35万円以上する超高級品になってしまった。Fの暗さも含めて使い勝手を考えるとちょっと…

 で、色々検討した結果、たどり着いたのは今回導入したKowaのPROMINAR 500mmF5.6(350mmF4.0)だ。登場したのがいつなのかはよく知らないのだが、天文雑誌等で紹介されていたときは「うーん、なんか凄そうだな、でも値段も凄そうだぞ−、ということで眼中には無かったのだ。

 しかし、2013年の後半ぐらいから、実際のブログで撮影結果を示したりしている人が増えてきて、その性能から「こ、これはただ者ではない〜」と思うようになっていた。でも値段は高いよなぁ、と思っていたら、ここに来てKYOEIがお得なセットを売り出してしまっていたのだ。通常の500mmF5.6のセットだと24万円ぐらい(定価は28万円…)。これにレデューサー相当の350mmF4.0のマウント(定価4万円ちょい)をセット。これで24万円ほどで販売していたのだ。い、いかん、こんなものを見せられたら…

とは言っても、セットで24万円(税込み)ほど。そうそう簡単に買えるモノでは無いのは確か。しかし、ここで改めて他の製品と比べてみてしまった訳だ。恐らく350mm近辺でライバルと言えば、タカハシのBaby-QことFSQでしょう。似たような鏡筒もあるのだけど、どちらにしてもレデューサーが必須になるし、ピントやマウントを調整するためにあれやこれやと工夫が必要になる。PROMINORであれば、その辺は基本カメラレンズなんで、あまり心配しなくて良いというのがある。

フォーサーズで500mmということは1000mm相当
500mmマウントでフォーサーズ+マイクロフォーサーズマウントアダプタでE-PL5をセットしているの図。フォーサーズなので、1000mm相当だ。フォーサーズマウントにはx1.4テレコンも持っているので、これを組み合わせると1400mm相当の望遠レンズが使える。
 眼視を考えると、直接アイピースなどを付けられないPROMINORは不利なんだけど、KYOEI東京店によると、実はちょっと工夫するとアイピースは付けることができるらしい

 ということで、結論。300〜400mmクラスの天体撮影用のレンズはこのPROMINORで決まり。となると、急がなければならない。2014年の3月といえば消費税が5%から8%に増税される直前なのだ。前回3%から5%に増税になったときは、直前に車を買ったものだが、今回はカメラレンズとなった。

 買うに当たって、マウントには少し悩んだ。カメラレンズとは言え、接続はほとんど望遠鏡みたいなもんだ。AFも絞り連動も無い、ただのメカニカルなマウントなので、マウントに関してAFなんかを気にする必要は無い。使い勝手だけを考えれば良いわけだ。しかし、普通にEFマウント(EOS用)を選ぶと、EOSにしか取り付けできない。当たり前だ。

 持っているカメラのマウントは3種類(EOS、フォーサーズ、マイクロフォーサーズ)なので、その3種類ともにできれば使いたい。マイクロフォーサーズ用にはアダプタがあるので、基本EOSとフォーサーズで使えれば良いのだ。この辺は、UTOさんがやっている作戦をを参考にした。フランジバックの長いNikonマウントを買っておけば、CanonとOLYMPUSには変換できるというものだ。

 ということでマウントはNikonを選択。実はNikonのカメラは一台も持ってないのだけど…(^^;。EOSに取り付けるためには、F=>EFマウントに変換するマウントアダプターが必要になる。ここにはamazonで購入した格安(2-3千円ぐらい)のマウントアダプターを使うことで、EFマウントにもフォーサーズマウントにも使えるようにした。実は、この格安マウントアダプターは、たまーに不良品があるらしく、私もひとつはやられてしまった。返品しちゃいましたが。

さて、肝心のPROMINOR本体。実際に届いてみるとデカイ!本当は500mmのアダプターを付けても本体長さは35cmほどなので、ばかでかい、という程では無いのだけど、それなりに思い(2kg)のと、フードがこれまたバカでかいので、全部を組み合わせると結構な大きさになるのだ。

しかしこのフード、付属してくれているのはいいのだけど、逆さ付けするときにいちいちキャップを外さないといけないし、その取り付けは爪式では無くて、なんとボルトお〜ん、の締め込みネジ式。しかもこのネジがずいぶんとおっきい。確かに持ち手として締め込みやすいネジではあるけど、こんなにでっかい必要性はあるの?

広々撮れる350mm相当で北アメリカ星雲
350mF4.0+EOS KissX5で撮影した北アメリカ星雲。1100mの高地で撮影しているということもあるが、想像以上にしっかり写る。とにかく星像が小さいし、ハロが全くないので安心して撮影できる
 と思ったら、実はこのネジは照準用らしい。一眼レフカメラを取り付けて、このネジを上になるようにしてフードを付けると、カメラのホットシューのところとこのネジを結んだ線が照準として使えるのだ。500mmともなると、夜の星探しにファインダーがいるなぁ、と思っていただけに、この照準機能は便利に使わせてもらっている。付属の部品としては、このホットシューに差し込む高さ別の照準ホールがあるのだが、面倒なのとヘタに付け外ししていると無くしてしまいそうなのでそこまでは使っていない。普通にホットシューを使うだけでも結構便利に使えるのだ。

 導入後はしばらく天気も悪くて実力確認できなかったのだけど、4月末の連休に寒風山に行って確認…うげえええぇぇ!。むちゃくちゃ写る〜。今のところ使っているのは明るい350mmF4.0の方なのだが、同じF4.0のR200SSよりもしっかり写っているんじゃ無いかと思えるほど、いや、思えるのでは無くてしっかり写っているはずだ。

ここまで来てハタと気がついた。このプロミナー、せっかくなので例によって名前を付けておこう。イヤ別に名前を付ける必要は無いんだけど、話が早くなるからね。F4.0とF5.6なので、それを考えて「指令」と「五郎」としてしまおう。芸が無いかも知れないが、とりあえずこれで親しみが持てるのはいいだろう。

 とにかく、プロミナー指令で撮りたいモノがたくさん出てきてしまうぐらいむちゃくちゃ写る。通常の望遠レンズだと、ジャスピンにしてしまうとハロが出てしまうので、ごくわずかにピントをずらせて撮影することがあるのだけど、この指令ならジャスピンで問題なし。ハロ無し、周辺減光はあるけど収差は無い。なんぢゃこれー。

 では500mmは使っていないのかというと、先日しっかり使っていたりする。500mmの超望遠が活躍する場面といえば、ISSこと国際宇宙ステーション撮影だ。これ、結構明るいので手持ちで撮影できる、というのをCANPで教えてもらっていたのだ。これは一度は確認してみなければ、ということで手持ちで500mm五郎を使ってISS撮影にチャレンジ!、実際、ISO1600まで上げれば1/1000秒でも撮影可能で、形がしっかり写ってしまった。プロミナーすげえ。



プロミナーではなくて、GPDがすっぽり収まってしまった箱
プロミナーが収まるかと思っていたのだが、実はGPD赤道儀こと、ジーナさんがすっぽり収まってしまった。必ずしもスペース効率が良いわけではないが、四角いだけに便利なところはある

2014年11月2日  ビストメトロン。ジーナさんのレトロなBox


 遡ることおよそ半年。5月の連休前にその計画はスタートしていた。手元にあったのは、少し古びたひとつの木の箱。連休前にひょんなことから歴史ありそうな理化学機器の木箱を入手し、なんとか光学系の運搬箱にならないかと考えていた。

 入手した当初は、実はプロミナーの箱にしようかと考えていた。プロミナーの運搬箱は、工具箱のアイリスオーヤマのHARD CASE460というのを使っていて、これはこれでいい感じなのだが、今ひとつ面白くないというものだった。どうせなら、顕微鏡やその他古い望遠鏡を納めていそうな、レトロな感じのこの木の箱を使えればと思った次第だ。

 しかし、改めてプロミナーを入れてみると、思いの外中途半端だった。これなら工具箱に入れた方がまだ収まりが良いというわけだ。まぁ、ほぼ正方形の箱なのである程度仕方が無いと言えばそうだろう。では、何か他に使えないものか、と考えたときに、ジーナさんことGPD赤道儀が目にとまった。

 そもそもジーナさんは既にリュックに入れての運搬を行っており、これが効率的なのは確かだ。しかし、運搬以外の保管や車に乗せた後を考えるとこのリュック式というのは必ずしも良いわけでは無く、普段は後部座席の足下に立てて置いておくのだが、気がつくと倒れていると言うことも良くあった。

 試しに、開いた箱にジーナさんを収めようとしてみると、めいっぱい体を縮めた状態で丁度ギリギリ入りそうだ。これならやってみるか、ということでジーナさん木のおうち計画がスタートした。

中身をバラしていろいろ仕切りを入れて、フェルトでカバーをしていく
仕切りを取り外し、代わりに赤道儀がすんなり収まる様に様々な高さの木をおいて、その上にフェルトを張って…意外とこれだけでもすっきり収まってくれたりする。隙間にはウェイトとウェイト棒が入るように更に仕切りを入れてある
 元々理化学機器が納めてあったこの箱だが、そのためにいくつか仕切りが入れてある。そのままではジーナさんは納められないので、まずはこの仕切りをハンマーでぶったたいて取り外し(木工ボンドで留めてあるようだった)、続いてジーナさんが収まった時にブレないように、サポートする木を寸法取りし、今度は木工ボンドで付けていく。なんとか収まることを確認した後、更に残った隙間にバランスウェイトやウェイト棒が収まらないか確認し、それらを安定できるように追加の板を入れていった。

 本体はきちんと収まることが確認できたところで、今度はMDコントローラーや電源が収まらないか考える。蓋の部分にスペース的には収まりそうなのだが、収納するには一工夫必要だ。結局、100円均一で買ってきたもののチャックが壊れてしまったソフトポーチを切り貼りし、ネジ止めして袋状にして納められるようにしてみた。ちなみに、電源はアンカー製のリチウムイオン電池(どうやら売り切れらしい。7千円だった…)を買っているのでそれが収まるようにしている。

ここまで来て、一応一通り完成だが、実は不安な面もある。元々収まっていた理化学機器よりも、このジーナさん一式の方が明らかに重いのである。取手やちょうつがいはある程度強度はありそうだが、長年の経年変化もあり、ちょっと頼りないのも確かだ。まぁ、長距離運ぶものでは無いので、なんとか持つだろう(いーかげん)ということでしばらくそのまま使うつもりだ。

ジーナさんの絵を貼ってしまった…
最終的に、痛いケースになってしまった。あまり深くは追求しないように(汗
 最終的に、リュックに収まっていたものは一通りこの箱に収まることがわかり、一安心した。大きさ的には少し大きく、かつ重くなってしまったが、頑丈な木の箱なので、いざというときは上にものを載せられるし、車の中でもしっかり安定していてくれうるのでこれはこれでいい感じだ。

 最後に、このジーナさんの新しい住まいにはちゃんと主張しなければならないだろう。本当は望遠鏡のR200SSとかに森雪のステッカーとか貼って痛テレにしたいところだが、そもそもそんなでっかいステッカーなんか無いのでなんとか思いとどまっている。ただ、このジーナさんの住まいには、ついついこんなものを貼ってしまった。ホテル・アドリアーノのヒロインと、ちょっと関係してしまったのはちょっとしたミスだ(爆



壊れてしまったハイペリオンズームと導入した15mmウルトラワイド
右が壊れてしまったハイペリオンアイピース。左が今回導入したウルトラワイド15mmアイピース。見え味は、私が見た限りではそんなに変わらない…というか広い分ウルトラワイドがいいかも…値段で言えば1/6ぐらいなので、焦点距離別に3本ぐらい買ってもおつりが来る…

2014年12月6日  はいぺりおーんの故障と新アイピース


 2011年の11月に導入していたのが、眼視用アイピース。ハイペリオン8-24mmズームアイピースだ。これ一つでだいたいこなせるように、ということで導入した。見え味は完璧ではないが、比較的良好で、なによりそのズームが便利で観望会を中心によく使わせてもらっていた。

 しかし、問題は突然やってくる。購入してから3年ほど経った2014年9月、プロミナーの眼視化計画を進めていたときにこのアイピースを使おうとしたときに異変に気がついた。「ん?なんかズームリングが重いな」と思い、何度かズームリングを回そうとしたのだが、なんとその度にリングを回すのが重くなり、最後にはほとんど回らなくなってしまったのだ。

 恐らく内部のズーム構造にかかわる、どこかが緩むかなにかしているのだろうが、そもそも分解できる部分が少ないので、どこが悪いのかは全然分からない。少しバラしてみようかとチャレンジしかけたが、とても手に負えないことが分かったので、この時点であきらめてしまった。ああ、便利だった3倍ズームよ。思ったより早いお別れだ…

 もっとも、ズームが回らなくなっただけで、見えなくなったわけでは無い。回る範囲が限りなく小さくなって、おおよそ10-8mmズームとなってしまったのだ。高倍率側はなんとか使えるので、まぁ10mm相当の高性能アイピースとしては使えなくはない。もうちょっと使ってやるつもりではある。

 さて、困ったのは低倍率側のアイピースをどうするか、ということだ。考え方にもよるが、一応ドナルド君のアイピースがあって、これはOr25mmと10mmだ。視野角はそれほど広いと感じないので恐らく50度未満だろう。これは一応使えるのでそれで我慢してしまうという作戦も取れる。しかし、観望会などで多くの人に見てもらうにはこの辺のアイピースはアイポイントも短く、少し使いにくいのだ。

 ならば、そこそこ安くていいから見やすいアイピースを捜してみようということで、Amazon内をアイピースを捜してさまようことになった。多少高性能なものから、Vixenの3千円ぐらいの安価なものまで色々あるのだが、性能と値段とでちょっと気になったのがあった。

これは更に調べて後から分かったのだが、このアイピース、BORGのパーツとして販売されているものと同じものらしい。Amazonで購入したのはCelestronのアイピースとなっていたが、要はいろんなところからOEMとして出ているものらしい。

 値段は6千円弱。焦点は15mmと20mmがあり、特筆すべきはその視野角で、みかけ視野角が66度あるという。この値段としては破格の性能である。しかも、高性能アイピースにありがちな妙にでっかい筐体ということもなく、普通のストレートなアイピースのサイズだ。アイポイントも15mmほどあって手頃だし、アイカップも付いているので見やすそうだ。これで見え味が悪くなければ即買いだけど…

 悩んでもしょうが無い。格安アイピースなのでインターネット上でもレビューはあまり無い(実はBORGアイピースとしてなら見つかる)ようで見つからない。ここはひとつ思い切ろう、ということで一つ買うことにした。いや二つ買っても双眼はできないのだが(^^;

 悩んだのは焦点距離。20mmと15mmどちらにするか、だ。普通に考えたら8-24mmの低倍率側が欲しいのだから、20mmを買えば良いのだが、せっかく広い視野角があるのなら、少し倍率の高いのを買っても、カバーできるんじゃ無いかと色気を出したわけだ。アイピースの実視野角を調べるサイトなんかもあって見てみると、ドナルド君にこのアイピースを付けた場合、すばるがギリギリ収まるかどうかと言う広さになる。

ゴム見口を折りたたむとこんな感じ
ゴム見口を折りたたむとこんな感じ。アイポイントは15mmほどあるので、めがねをかけたままでもなんとか見ることができる。視野が広いので周辺部まできっちり見ようとすると少し足りないが、十分十分〜♪
 ここまで広ければとりあえず使えるぞ。そもそも広さが確保できるのであれば、倍率は高い方が迫力はある。先日の松山での観望会では土星を見てもらったのだが、経緯台だったこともあって視野から逃げる土星の速度と、それに対応する視野の広さとの兼ね合いで、あまり倍率を上げることができなかった。
 ということで、焦点距離は15mmを選択。ドナルド君での倍率は40倍。バローレンズをかませば、80倍となる。ドナルド君の口径は120mmなので本当ならもうちょっと倍率が欲しいところだが、それはそれ、ハイペリオン(8-10mm)+バローレンズで120〜150倍が出せるので、とりあえずはそちらを使えばOKだろう。ということでポチっとな。Amazon発送なので比較的早く到着してくれた。

 最初に使ったのは総合科学博物館での観望会の時に、勝手に観望会をやったときだ。ドナルド君に合わせて使ってみたのだが、星のクリア具合や視野の広さ、周辺部のひずみ具合なんかも、値段の割には悪くないと感じた。周辺部はそれなりに歪むが、思っていたほどではないし、そもそも眼視でそんな周辺部をまじまじと見ることは少ない。普通に中止部を見ている限りには違和感は全くない。いいぞぉ。

 実は、一番気に入っているのはそのコンパクトさだったりする。ハイペリオンアイピースは片付けるにしても入れ物や場所を考えなければならないのだが、このアイピースなら他の部品のすみっこにちょいと入れてやれば良い。今のところバローレンズと一緒に100円均一のDV用ケースに入れてあるのだが、これは結構いいかもしんない。

 これで惑星観測用に短いやつがもう一本あればいいのになぁ、と思ってもう少し調べてみると、どうやら同シリーズに6mmの焦点距離のがあるようだ。ただし、こちらはスマイスレンズ(バローレンズ)内蔵ということで、見え味は少し気になるのと、更に倍率を上げたい場合のバローレンズとの相性が気になる。

 ただ、これまた6千円弱と手頃な値段なので、近々導入したいとは思う(実は既に導入済み)。少なくとも今の自分の目であれば高級アイピースを買わなくても満足できるということと、やっぱり可動部が無いアイピースの方が長持ちしそうだということが判明してしまったからだ。本当はイーソス13mmなんかが導入できればいいのだが、使用頻度と持ってる機材を考えると、ちょっと、ね(^^;

このハイペリオンアイピース。実は後日談がある。発売元の国際光機に実際に行くタイミングがあり、その時に持参して見てもらったのだ。丁度店長が確認してくれて「普通に使っていただけ?2〜3年でこんなに簡単に壊れるはずが無い。この個体は問題だ…(ごそごそ)…はい、これで修理完了!」と、伝説の瞬間修理を実施してくれたのだ。ということで、今もこのハイペリオンは元気に稼働している。



一通りセットしてみたリング&フリップミラー。既に短縮処理をしてある
つい、フローライトを覗いてしまったがために欲しくなってしまったプロミナー眼視化キット。リング類の組み合わせで、結構な出費になった上に普通ではピントが合わないことが判明。写真のキットは既に光路短縮処理をしている。直視の筒は今はダミー。

2014年12月8日  プロミナー眼視化計画〜その1〜


 2014年春に導入したプロミナーは、ほぼ天体写真専用の超高性能レンズとして活用しているのだが、その機能自体は十二分に発揮していてくれている。個人的には十分満足だ。しかし、それを更に活用したい事態が起きてしまった。

 元々このプロミナー500mmF5.6、購入時に望遠鏡化できるという算段を付けていた。実際に実施するかどうかは別として、KYOUEI東京店のホームページでは、アイピースを付けてピントが合うところまではこの構成で行けそうですよ、という話が載っていたのだ。

 なので、将来的にはこんなのを試してもいいかな、でも基本撮影しかしないからやることは無いよなぁ、と思っていたのだ。

 しかし、事件は起きた。2014年の9月にエミフル松前(まさき)で行われたお月見観望会でのこと。こちらはドナルド君で参戦していのだが、メンバーの一人が持ってきていたVixenのFL-80Sを何気なく覗いてしまったのだ。確かアイピースはタカハシだったと思うので、それなりのシステムではあるが、そのコントラストの良さに度肝を抜かれてしまった。対象は月なので明るさが十分ある、という前提にはなるのだが、自分が使っていたSE-120(120mmF5.0)+ハイペリオン3倍ズームなんかより、はるかによく見える(気がする)。口径が異なるので恐らく細部を見比べればそれほど変わらないか、SE120の方がよく見えるかもしれないのだが、明るい部分はまぶしいぐらい、それでも暗い部分もすっきりと見えるコントラストは、月面観望には最適なソリューションだった。うう、フローライトすげぇ

 ということで、やっぱり高性能な屈折が欲しくなってしまったのだが、考えてみたらフローライトはウチにもあるぢゃないか(どこかで聞いた話だな)しかも、コイツはf500mmF5.6。すなわち口径は89mm、ほぼ9cmの高性能屈折望遠鏡…相当だ。眼視のコントラストは必ずしもレンズの性能だけでは決まらないし、写真レンズは強拡大用には向かないという話も聞いたことはあるが、こいつの性能ならそれなりの望遠鏡にはなるはずだ。レンズとして使うだけではもったいない…ということになった。

 眼視するには、プリズムユニット+KOWA純正アイピースという手もあるが、プリズムユニットは58,000円(税別)もするし、アイピースも4万円〜8万円もする。合計10万円も出すのであれば、7〜8cmのEDレンズ望遠鏡が買えてしまいそうになるわけで、あまりにも面白くない。

 しかし、KYOEIの各種リングを接続する方法も必ずしも安くない。そもそも各種接続リングは一つ当たり3〜4千円する上に、フリップミラーは6千円もするし…ざっと見積もっても、2万円は軽く超えそうである。これはちょっと…と思っていた。しかし。

 たとえば自作パーツでEDレンズだけを買うと、7cm程度なら3万円ぐらいからある。ではそれに鏡筒や接眼部をかます(すなわち望遠鏡一式を購入する)と、一気に値段は倍ぐらいになってしまう。従って,接眼部は2-3万円しますよ、という形だ。それならば、今持っている約9cmのフローライトレンズであるプロミナーに接眼部を付けるのであれば、合計2〜3万円というのは、決して悪く無い投資ということだ。

 納得した。というわけで、実はKYOEI東京店に行けることがあったので、ホームページを見ながら申し込んでみた。結局全部のパーツは無かったので後日発送ということになったし、最後の接眼部のパーツ(7314+7423)は結構高くつくので、とりあえずフリップミラーまで、という形にした。実はこの時点で2万5千円を超えているので、正直これ以上お金はかけたくないなぁ、というレベルにまで来てしまった。気配的にはまだ接眼部を短縮する必要がありそうだが、とにかくこれで試してみよう。

 なお、NikonのBR-3は入手性や値段から見て、Amazonで購入した。それぞれ商品が届いて、とにかく部品はひとまずそろった。接続手順は

マスターレンズ+Nikon BR-3(これはAmazonで購入)、BORG7405(M52オス=>M57オス)、BORG7901(M57メス=>M57メス)、BORG7504(M57メス=>2インチホルダー)、ビクセンフリップミラー

という形だ。一通り揃ったとは言うが、実はこのフリップミラーがくせ者で、このままでは光路長が長すぎる恐れがある。イメージとしては42mmのTネジから31.7mmのアイピースアダプタまでの距離があり、ここを短くしなければならない可能性は高い。この辺は実際に星を見てみてから確認だ。

同じリング構成でも、フリップミラー無しならピントは来る
とりあえず月を覗いてみた時の構成。同じリング構成で、2インチホルダーから先を直視の形にすればまずピントは合うので、これで使うという手もあるが、これだと天頂付近というか上を見るのはできない。これでは面白くない。
 この状態(直視ではなく、上の写真のフリップミラーをセットした状態。短縮前の話ね)で確認してみた。プロミナーは赤道儀に取り付けられるようにアリガタを付けっぱなしにしてあるので、三脚に付けると言うよりは、ドナルド君用のポルタに付けたり、ジーナさんに付けたりできる。この辺もますます望遠鏡だ。とにかくポルタに付けてまずは月を見てみ…あれ?月が導入できないぞ。考えてみたら望遠レンズなんでファインダーが無い。しかも、頼りのフードのネジも、接眼側がカメラで無いので、どの辺から覗き込めば良いのかいまひとつピンとこない。これは困った。どうしよう…と思ってよく見たら、くだんのアリガタが目にとまった。これが筒と平行になっているので、このエッジを頼りに導入すると、ばっちり導入できた。カメラで使うときもこっちの方が導入しやすいかもしれんな。

 で、肝心の月面。とりあえず光は見える。しかあし、案の定ピントリングを無限遠まで回しても、全く足りない。明らかに光路が長すぎるのだ。フリップミラーの根元、Tネジの部分から接眼アダプターを外してアイピースを手に持って確認してみると、アイピースの端部をTネジ部分まで下ろしてくるとピントが合いそうだ。だいたい30mm前後かな。このへん、かなーりあいまいにしか見てなかったので後から面倒な思いをするのだが、まぁ仕方が無い。

 ちなみに、このフリップミラーを外して、ドナルド君の2インチアダプター(2インチ−1.25インチ)をかませてアイピースを直視の形で繋いでやると、問題無くピントが来た。(写真状態ね)但し、プリズムが無いので天頂付近を覗くのは不可能だし、恐らく近いところはピントが来ない(まぁ近くを見る予定は無いのだが)。この状態で天頂プリズムを入れるという手もあるかもしれないが、1.25インチの天頂プリズムは持ってないので購入するとまた7千円近くする。2インチ天頂ミラーならドナルド君のがあるが、これまた光路は同じぐらいになりそうなのでピントが来ない可能性が高い。短縮リングを買ってもいいのだが、また4千円前後出費するのも悔しいので、まずは今の変換&延長チューブを切断してみることを考えた。すると実は…


つづく


フリップミラーを含めて一通りセットした状態。それなりの大きさになる
眼視化キットを取り付けた状態。フリップミラーは微妙だが、どのみちミラーが必要になるので、当面このまま。コントラストもまずまず。

2015年1月2日  プロミナー眼視化計画〜その2〜


 プロミナーのベース部分にNikonのリバースアダプタを取り付けて、BORGの各種リング+2インチスリーブをセットし、フリップミラーを付けることで,とりあえずアイピースを取り付けるところまではできた。しかし、光路長が長すぎてピントが来ない。さてどうしたものか。…いかん。ゆっくりしてたらアップするまでに年を越してしまった(^^;

 さて、ここまで来てしばし悩んだ。リング地獄の42mmTネジアダプタ(+ショートタイプ1.25インチアダプタ)を購入すれば恐らくピントは来るのだが、1セットでまた5千円以上の出費だ。ここまで来てそれは痛い。ということで、ひとつ思いついた。光路が長いのなら、切ればいいのだ。Vixenのこの42mm→31.7mmアダプターならAmazonでも普通に売っていて、しかも900円ぐらいである。(あれ?今見ると1300円に値上がりしている…)もし切り損ねても買ったところで知れてるわけだ。


 初めはこのアダプターの胴の、上の方と、ネジのある下の方との二カ所切断し、Tネジ部分と接眼部分をテープなり接着剤でくっつければ、多少強度や光軸上の問題はあるが、眼視なら問題無いだろうと踏んで筒を短くするイメージでいた。しかし、改めてこのアダプターを見てみると、なんと、42mm側の内側は、筒の長さ全部に渡って全てネジが切ってあるのだ。まるで、「好きな長さに切ってお使いください」と言わんばかりだ。ブラボー!すごいぞVixen
下から覗いてみると、全部にネジが切ってある。これはもう、切って調整してお使いください状態だ。ブラボーVixen!
下から覗いてみると、全部にネジが切ってある。これはもう、切って調整してお使いください状態だ。ブラボーVixen!
とりあえず切ってはみたものの…
とりあえず、切ってはみたものの、見事にギッタギタ。これをきちんとやすりがけして粉やバリが出ないように整えるだけで一苦労。しかもきちんとネジが入るかどうかも不明…
なんとか削ることができたアイピース部
なんとかしっかり削って形になったアイピースアダプター。上は削る前。下が削った分。ここまで縮めないとピントが来ない。

 ということで、切断することにしたのだが、あまり短くしすぎて失敗しても面白くないので、とりあえずそれっぽい長さの28mmまで切断することにした。しかし、これまた基本、アルミを切断する工具なんか持っていないので苦労することになる。金切りノコもどきみたいなのはあったので、小型シャコマンで筒を持ちやすくした上で、ノコで少しずつ切っていった。なんとか切れたものの、結構ガタガタになってしまい、やすりで調整したものの、まっすぐな切断面にはほど遠い結果になった(^^;

 それでも、きちんとバリを取ってやれば問題無くねじ込みができた。よし、これでピントが合えば…と思ったのだが、そうは問屋が卸さなかった。まだ3〜4mm足りない。しかも、切断した側を更にやすりで削ってみたのだが、最終的にはねじ込み代が足りなくなりそうなところまで来て、それ以上光路短縮ができなくなった。それでもまだ1mmぐらい足りないのだ。

となると、後は削れるのはアイピース側ということになる。実際、アイピース側はカメラアダプター等を付けられるように飛び出ているので、この部分を削っていけばピントは出そうだ。後から考えると、この部分をごっそり切断しておいても良かったのだが、その辺は今となってはアフターカーニバル。とにかく削るしかないので、やすりでシコシコと、約2mmを削る羽目になった。(簡単に書いてるけど、この部分は筒よりも厚い状態なんで、きちんと削るには結構大変だったんですよ、コレ…)

 しかし、苦労は報われる。とにかく削れるだけ削りまくった形だが、これによってちゃんとピントが出るようになったので、きちんと無限遠で遠方にピントが合い、しかも少しだけ余裕が出るようになった。やったぜVixen。本当はフリップミラーの直視側もこの光路短縮をしておくべきなのだろうが、実際にはミラーを使わずに覗くことはほぼ無いと思われるので、ちょっと邪魔だけど当面このまま運用するつもり。本当は直視側にはカメラが付けば良いのだろうが、おそらくピントが来ないだろうから、ダミーのままになりそうだ。

後はSE120との見え方比較テスト。とりあえず月面を見てみた限りでは、結構いい感じ。アイピースの関係もあるが、さすがのフローライトの見え味な感じはする。厳密にはSE120と比べてみないといけないが、さて、これからコレをどう使ってやろうか…。


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