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関白陣での冬の星座
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 小学生の頃から慣れ親しんできた天体観測だが、その頃から、「これは一生の趣味になるだろうな」という気はしていた。紆余曲折を経て、未だにあれやこれやと思い悩む天体写真、その顛末を記録してみました。「曇天」なのは、晴れればこのページを書いている暇が無い訳で、曇って星が見えない日に書いているからなんです。トラブルも多数…

新しく来た丈夫な赤道儀GPD。これでかなり安心して使える

2013年4月15日 ジーナさん登場 Vixen GP-DX


 時は少し?さかのぼって2012年残暑。ブログ仲間の書き込みから、またまた振って沸いた話がやってきた。赤道儀の新規導入だ。R200SSを導入できたのが2011年初頭。そこから1年半以上、赤道儀はその昔の友人から安く譲ってもらったVixenSP赤道儀を使っていた。恐らくスペック的にはギリギリだったと思うが、時折ガタが出る以外はしっかり使えていた。しかし、いかんせん追尾性能がいまひとつ、また、追尾の状態も時によっては不安定になったりするので、もう少ししっかりした赤道儀が欲しいな、と思っていた時期でもあった。

 そこに話が出たのが、ブログ仲間のNamさんが手持ちの赤道儀を手放すという話だ。せっかく手放すのであれば、こちらに安く譲ってもらえないだろうかという話をしたところ、快諾いただいた上に、大幅値下げまでしてもらい、9月後半にはこちらに届く段取りとなった。その赤道儀は、やはりVixenのGPD。なんだかんだ言ってVixenとは縁が切れない

 このGPD、元々Namさんが中古で購入していたものなのだが、良く言われているように、グリスが古くなって硬くなっていたらしい。そうしたものをバラして整備し直すのはかなり手間なので、単に中古のGPDだったら購入をためらっていたのだが、そこはさすがのNamさん。手に入れたGPD赤道儀をバラして整備し直し、欠品していた部品等を全て用意しなおしてあったのだ。極軸望遠鏡まで調整済みなので、この赤道儀に関しては私がする事は、運ぶこととバッテリーを繋ぐことぐらいしかない。しかも格安。これは買わずしてどうする!ということで無事に交渉成立。9月下旬には到着した。

 厳重に梱包されたGPD赤道儀を取り出して組み立て、色々観察してみると、何点か今までと違っていることに気が付いた。まず一つは微動ハンドルが無いことだ。聞くと元々同梱されていなかったらしく、「え?いるの?」というような反応だったのだが、今回のGPDは整備も行き届いていてガタがほとんど無く、両軸モーターで最大32倍速度が出せるので、赤緯の微動ハンドルも無くてもほとんど困らないのだ。なるほど。

 もうひとつ、実は今までSP赤道儀しか使ったことが無かったので、便利と言われているビクセンのアリミゾ・アリガタは使ったことが無かったのだ。従って、R200SSをGPDに付けるにはアリガタプレートが必要になる。R200SSを譲り受けたときにプレートが付いてはいたのだが、純正品ではなく、不動点からの距離が少しだが伸びる形になるプレートだったので、ここはひとつ、ということでビクセン純正のアリガタプレートを別途購入した。Amazonで購入(実質ビッグカメラ)だったので話がはやい。

 これでグレードアップしたGP赤道儀生活を満喫♪、と思っていたのだが、世の中そんなに甘くない。一番困ったのが、その重さだ。今までのSP赤道儀は結構チャチな作りということもあったが、とにかく軽かった。アルミ三脚込みで7kgちょいぐらいしかないのだ。なので、アルミ三脚と一体で組み立てたまま片手でひょいと持ち上げて、車まで持ち運ぶことができた。

しかし、今度のGPDはそうもいかん。恐らくスペック的にはGPD2と同じだと思うが、本体重量だけで、8kgもあるのだ。 これに更に付属して来たHAL三脚が、これまた重くて5.5kgもある。あわせると14kg近くになって、SP赤道儀に比べると倍ぐらいになってしまうのだ。さすがにこれだと軽く片手で持って移動、というわけには行かない。しかもHAL三脚は今までの90cmではなくて130cmなので、かなり大きい

デイリュックの中に入れ込むプラスチックケース。これでGPDをしっかり支える
 ということで、とりあえず赤道儀と三脚はバラして別々に運ぶことにした。ただ、そうすると今までは三脚と赤道儀に、あと一品、パーツバッグか、鏡筒を運べていたのだが、赤道儀だけを運ぶと、他にもう一品運ぶのは苦しくなってしまう。その上に三脚はまた別に運ぶ必要が出てくるので、部屋と車との往復がかなり増える計算になる。これはなんとかしたい。

 そこで考えたのが、この赤道儀の運搬方法。もともとパーツバッグも普通のバッグを改造して少し重いバランスウェイト等を運べるようにしていたので、似たようなことができないかな、と考えたわけだ。部屋から車まで運搬する際に、なるべく多くを運べるようにするには、普通埋まってしまう両手ではなくて、背中を使うのがいい。ということで、買って来たのは1000円の少しだけ大き目のデイリュック。

 この底に、まず重量がかかっても大丈夫なように100円均一で買って来たプラスチックのBoxを置く。これに同じく100円均一のクッションスポンジを引いて、赤道儀をセットするようにした。更に、赤道儀を入れただけでは少し隙間ができるので、バランスウェイトも入れるようにした。本当は二つあるウェイトのうち、大きいほうを入れたかったのだが、プラBoxが小さくて入らなかったので、小さいほうを入れることにした。この辺は、赤道儀の入れ方なんかも含めてまだ不満があるので、プラBoxを専用の形にしたいところだ。機会があれば、木かなんかで作ってみたい。

 で、まとめてみると写真の様になるわけだ。パーツバッグの取っ手のところに三脚を入れ込むことができれば、右手にパーツバッグ、左手に鏡筒、背中に赤道儀、方にカメラバッグとして、1回で部屋から車まで全ての必要品を運ぶことができる。しかし、この方式には弱点があって、全部の重量を合わせると相当な重量になる。階段を上下するにはちょっと無理なレベル。しかも、階段を上り下りしている間に取っ手の間の三脚がずり落ちたりするので、結局2回に分けて運ぶことにしている。無理は禁物(^^;

全部まとめるとこんな感じ。運べなくは無いが…
実際にフィールドで使ってみると、始めは組み立てが若干面倒だったが、それもすぐに慣れて来た。むしろ、SPの時は常に付けっぱなしてしてあった三脚の固定三角板が無いのがちょっと気になる。ここに色々部品を置けないからだ。今は近くに折りたたみイスを置いて対応している。

 赤道儀はやはりGPDだけあって、すごくしっかりしている感じがする。Namさんが整備してくれていることもあり、ガタもほとんど無い。ただ、実際に撮影してみると、思いのほか撮影成功率は高くないことが分かってきた。ピリオディックモーションがそれなりにあるようだ。直接は比較していないが、SPとあまり変わらないか、少し小さい程度ではないかと思われる。

 だが、かといってダメというわけではなく、ピリオディックモーションがちゃんと周期的に出ているのが分かる。SPの時はその辺が全然安定しなかったので、やはりきっちりしていると言えばそうなのだろう。精度はとにかく、安心して使えるというのは間違いない。色々あるが、結局SPは使わなくなってしまった。まぁ、アリガタをR200SSにつけてしまったので、SP用に戻すのは面倒なのも確かだ。

 さて、グレードアップを果たした赤道儀、この赤道儀にも名前をつけてやらねばならぬ。R200SSを含め、恐らくこれからも色々な筒を載せていくであろう包容力の高いこの赤道儀、GPD赤道儀の、Nam's Specialということで、それぞれの頭文字を取ってG−Na、すなわち「ジーナ」さんということにした。ホテルアドリアーノの美人と関係があるかどうかは、不明だ(^^;。ジーナさん、これからしっかりガイドをお願いしますよ。



実は対応終了後のフォトガイド2

2013年6月3日 フォトガイド2の三脚を使いやすく


 望遠鏡の赤道儀にはスーパーポラリス→GPDと変遷してきているのだが、カメラレンズで撮影する際のポータブル赤道儀は、PhotoGuide2を便利に使ってきている。本来なら、R200SSで直焦点をやっているときは、もう1台このPhotoGuide2をセットして、2台体制で撮影したいのだ。

 が、実際に「手軽」に使うには色々問題もあったりして、2台体制というのがなかなかできないでいる。まぁ、R200SSをセッティングするためには車に一通り積み込まねばならず、更にPhotoGuide2セットを積み込むのには家の中からもう一往復しなければならないので、なかなかそこまで思い切れない、というのが大きいのだが…。

 PhotoGuide2をセッティングするときに一番やっかいなのが、三脚だったりする。この三脚、スーパーポラリス用のベース部分に、丸管式の足を3本使ったポータブル式のもので、比較的丈夫だし、上下左右の微動装置もスーパーポラリスの赤道儀をセッティングできるレベルのものなので丈夫で使いやすい。ただ、普通のカメラ三脚に比べると少しかさばるかな、というぐらいだ。

 が、実は大きな問題が二つある。一つは、その分離機構だ。ポータブル赤道儀であるPhotoGuide2そのものは、カメラ三脚で取り付けられる1/4ネジが付いていて、そのネジをこ

の三脚+微動装置に取り付けるためのベースプレートがあり、ベースプレートをキャップスクリュー4本で微動装置部分に固定している。そのため、このPhotoGuide2本体と三脚+微動装置部分を外そうと思うと、この4本のねじを緩めてベースプレートを外さないといけない。さすがにそれは面倒なので、ここを外すことはまず無いわけだ。ただ、そうするとこの赤道儀の「ポータブル」性がかなりスポイルされてしまう。確かにスーパーポラリスより軽くて小さいのではあるが、三脚部分を含めるとそーんなに小さくないのだ。結局、このPhotoGuide2はその後量産されなくなり、代わってGPの赤道儀軸部分のみがポタ赤として販売されている。なんだかもったいない感じだ。

 実は普通のスーパーポラリス同様、その三脚と微動装置部分は大きめのネジで外すこともできる。そうすると三脚側はかなりコンパクトにはなる(タイトルの写真)。但し、その場合はPhotoGuide2本体側に微動装置がついたままになるので、やっぱりかさばるのだ。

 もう一つ、この三脚には大きな問題がある。その三脚の脚の固定だ。足の固定は8mmのキャップスクリューで両側をはさむ様に、2本のネジで1本の足を固定している。足は折りたたみできるような構造になっているのだが、折りたたむと、ネジが一緒に回って緩んでしまう。そうすると、足を持ち上げたときにプラプラして不安定だ。

また、次に使うときにはまたその「プラプラ」で使うわけには行かないので、六角ネジでしっかりと閉めなおさなければならない。足は3本あるので合計6本。使うたびにこの6本のネジを六角レンチを出してきて締めるのは意外と手間だ。使う場所は夜中の真っ暗闇なので、なおさら面倒だったりする。

 前置きが長くなったが、そのため、この三脚はもう使うのをやめようと考えていた。カメラ三脚の少し丈夫なものを購入して、それに上下/左右の微動装置をセットすれば三脚セッティングのわずらわしさから開放されると踏んだわけだ。

エツミのE286。なんだかCPUみたいな名前だ
 が、色々相談しながら購入しようと思って訪れたのがKYOEIの東京店。この時はたまたま出張で時間があったので寄ったのだが、そこで教えられたのは意外な回答。このPhotoGuide2専用の三脚があるのなら、これを使うのが一番頑丈でいいですよ、他の(カメラ三脚の流用)はちょっと…というものだ。確かにそうなのかもしれないが、ただこのままでは使い勝手が悪すぎる。

 で、考えたのはこの問題点を何とか克服できないか、ということだ。取り外した赤道儀部分がかさばる件は、まず微動装置と本体の間に、クイックシューをセットすることにした。本当ならアルカスイス互換のしっかりしたヤツがいいのだが、それだと1万円近くするのでちょいと高い。ヨドバシカメラで見てみると、エツミの中盤カメラ用と謳ったクイックシューがある。E-286という型番のソレだが、なんだか型番だけ見ると昔々のCPUみたいな感じだ。しかし、その実はレバー式ではなく、スライドネジ止め式なので、これなら比較的しっかりしていそうだ。更に価格も3千円ちょいと手ごろ。まぁ、半分だまされたつもりで買ってみよう、ということでこれにしてみた。

 実際セッティングしてみると、1/4インチネジ1本だけで止めるというのは結構不安があったりするのだが、なんとかなるレベル。固定のネジは軽く締めただけではやっぱりガタが出るのだが、多少きつく締めてやればしっかり止まってくれる。これなら、フォトガイド2の上だけを固定するのになんとか使えるレベルだろう。イヤなら元に戻せばいいだけだ。

 ただ、1点だけ予想外の事があって、スライド部分を元のベースに対して直角につけることができなかった。これはクイックシューの問題というより、ベースの固定方法の問題だ。1/4インチネジがあるベースプレートは、裏側からカメラネジでネジ止めをした後、4本の六角ネジで四隅を止めることで三脚部に固定することになる。しかし、その4本のネジが普通に付けただけではクイックシューに干渉してしまうため、取り付けられなくなってしまうのだ。そのため、このネジ部分を避けるように少しナナメに取り付けることになった。

ベース部に並行に取り付けできない!まぁ実用上は許容範囲
 まぁ、ポタ赤側も少しナナメに付けることで本体と三脚の向きの関係は崩さずに済んでいるが、取り付け/取り外し時はナナメにスライドさせなければならない。ということで、まずは上部だけをクイックにつけ外ししてコンパクトにできるという目的は達成できた。

 もう一つは三脚の開閉ネジの問題だ。そのままでは開閉するたびにネジを締めなおさなければならない。これは、開閉した時に固定のネジが一緒に回ってしまうという問題があるからだ。なら、開閉時にネジが回ってしまわなければ良い。回らないようにするには、足の部分と台座に刺さっていうネジ頭の部分とで摩擦が小さくなればよい。小さくするには…

 テフロンワッシャーとかあればいいんだけど、近所のDIYの店にはそんな気の利いた物は置いてない。では何か無いか…と探して、結局ステンレスワッシャーと、テフロンシールテープを買ってきた。ワッシャーを入れることで多少滑る様になるが、更にネジ頭部分にシールテープを巻いてやると、締めこむ時に多少緩みが出やすくなるものの、きつく締めてもねじと足とが一緒に回ることがほとんど無くなった。よし、いいぞぉ。

これで何回か開閉してみたが、一応きちんとネジは締まったままだ。足がブラブラしたり、キツすぎて開かなかったりすることは無い。完璧とは行かないので、何回かやっているうちに緩んできてしまうので、どこかで締めなおしてやらないといけないようだが、撮影現場で六角レンチを振り回す必要が無くなっただけでもかなり楽だ。

トートバッグに収まったフォトガイド2一式
 最後に、このポタ赤を運搬するときはパーツバッグに足をたたんで丸ごと放り込んでいたりしたのだが、その場合はコントローラーやその他モロモロもバッグに入れたり出したりしなければならない。それよりも、このポタ赤一式を一つのバッグに入れてしまえば、忘れ物も少なくなるし片付けたり持っていくものを選ぶときも楽だ。ということで、専用トートバッグを奢ってやった。

 と言っても前回のジーナさんの赤道儀と同じで、近所のDIYの店で手頃そうなものを見つけてきただけだ。やっぱり1,000円也。安いものだ。中身は同様に100円均一のプラスチックケースが入っている。トートバッグにしたのは、こっちの方が出し入れが簡単そうだったから。実はフタの部分はチャックで閉まるようになっているので三脚は倒れにくいし、紐は伸縮式なので肩からかけられるぐらいまで伸ばしてある。いいぞぉ。

 というわけで、少し気合を入れたものの、ほとんどお金をかけずに、色々やってみたおかげで、PhotoGuide2、というかその三脚は使い勝手が相当良くなった。これで更に使う機会が増えてきそうだ。モーターやギアはまだまだ大丈夫そうなので、壊れるまではきちんと使ってやろうかと思う。



36.4mmしか付けられない接眼部
SPR-150Sの当時最新式だったスライド式接眼部。36.4mm径しか付けられない。写真はカメラ用のTリング固定リングを取り付けたところ

2013年9月1日 ジェルドン復活。簡易コマコレレデューサー


 時は2013年4月。この時点での天体写真のメイン機材は、R200SS(20cmF4.0反射)であった。このR200SSは本当に使いやすく、色々工夫しろもあってTNK撮影で大活躍してくれている。だが、実はその陰に隠れてひっそりと引退生活を送ることになった筒がある。もともと持っていたSPR-150Sである。

 この筒は今のデジカメでかなり撮影できることを知った際に使い始め、結構写ることを確認したものの、もともと古い筒で接続径が36.4mmしかなく、しかも接眼部がスライド式という特殊なものであったため、光学系の改善があまり期待できず、R200SSを導入してからはほぼ使われなくなってしまったものだ。赤道儀のスーパーポラリスだけは使っていたが、ジーナさんを導入して使えるようになってからはそれさえも使われなくなってしまい、ここのところは、ほぼ非常用として引退生活状態だった。

 が、この4月にちょっとした情報を手に入れたことから、もしかしたら手軽に使えるかも、という話になってきた。接続径が36.4mmしかないため、レデューサーはもとよりコマコレクターも使えないと思われていたのだが、どうやらその両方の機能を持たせたものが接続できるかも、ということになったのだ。

その特殊アイテムというのが、ケンコークローズアップレンズNo.4だ。これはもともとマイクロフォーサーズのM.ZD45mmF1.8に装着して接写撮影できるように、ということで導入したのだが、その情報をWebで色々確認しているときに、実はこの49mm径(一番小さいもの)が、カメラのTリングに入れることができて、丁度良いレデューサーコマコレクターになるという情報が出てきたのだ。

 もともとケンコーのクローズアップレンズはレデューサーとして使える、という話は聞いたことがあったのだが、それはあくまで屈折望遠鏡の話だと思っていた。それが、組み込み方さえうまく行けば反射望遠鏡のコマコレクター兼レデューサーとして使えるという。マヂ?。Webで出てきた情報では、だいたいがR200SS用として活用されているのだが、これらはほとんどカメラのTリングに組み込んだ形になっている。それならSPR150Sの36.4mmネジの後のTリングに組み込んだ形でも使えるはずだ。

 これはもしかしたら…?ということで、さっそくNo.4クローズアップレンズを追加購入。挿入できるというケンコー製のTリングも購入して、さっそく組み込みを試してみた。もしかしたらピントが合わないかもしれないので、少し効果の弱いNo.3クローズアップレンズも同時に購入しておいたというのは秘密だ。

左がオリジナルビクセン、右がレンズを組み込んだケンコー、手前はクローズアップレンズ
左がオリジナルビクセンのTリング。右がレンズを組み込んだケンコー製。手前はクローズアップレンズ(予備のNo.3)
 ただ、思いのほか大変だったのがクローズアップレンズの分解。49mmのネジをそのまま使ってどこかに取り付けできれば便利だが、さすがにそう甘くはない。しかも、そのまま取り付けたのではバックフォーカス等の関係で画質はいまいちで、かつ縮小率が大きすぎてピントが合わない可能性が高いのだ。大事なのは、カメラマウントに接触するぐらいかなり近いところにレンズが置けるということらしい。

 そのためには、Tリング内にこのクローズアップレンズをセットできなければならない。ということは、必然的にクローズアップレンズをバラして、レンズだけを取り出さなければならないのだ。クローズアップレンズを見てみると外枠の固定してあると思われるリングに2箇所ミゾがある。ここにいわゆるカニ目を差し込んで回せば、固定用リングが外れてレンズが取り外せる。ケンコーのTリングだと、このレンズ固定リングをそのまま使用してレンズを固定できるらしい。だが、どっちにしてもまずはこのクローズアップレンズをバラさなければならない。

初めは簡単にはずれるかな?と思って精密ドライバーのマイナスで少し押してみたのだが、ビクともしない。少し力を入れてみてもダメ。あまり中途半端にやったのでドライバーが外れて固定リングを傷つけてしまった。レンズそのものでなくて助かった。これは相当に手ごわい。

 本当なら工具であるカニ目を購入してきちんと着脱するのが良いのだろうが、普通売れるような工具でもないので、カニ目はかなり高価なのだ。少なくともこのクローズアップレンズより高い。次に使うのがいつになるのか全く想像もつかないような工具にそこまではかけられない。さて、どうしたものか、とWebを探っていると、どうやらノギスの内径測定用の部分で外しているという話がある。

 実は、最近架台のネジだのアダプターのネジ径だのを色々確認するため、小型のノギスを購入したばかりだった。これを使ってみればよいということになったが、そこそこきちんとしたノギスなので値段もそれなりにしている。ヘタするとノギスやレンズを壊すことになってしまうので、良い子はまねしないで欲しい(^^;。とがった部分で怪我をする可能性も高いので、自己責任を取れる方のみどうぞ…

 てなわけで、内径を計るツメをレンズ押さえの径にあわせ、その時点でバーニヤ固定ネジを使って固定。ツメをしっかり食い込ませて、力を入れる。

ふんっ。

む、むむむ、まるで緩む気配がない。これは相当に強固に固定してあるようだ。このノギスを使ってもちょっと無理かなぁ、どうせダメなら、思い切ってもう少し力をこめてみようか…

「うおりゃっ!!」…ビキッ…

いや、これ以上かけたらヤバいでしょ、というレベルで力を入れると、リングがほんの少しだけ動いて緩んでくれた。これで緩まなければもうあきらめるしかないと思っていたので、やってみるものだ。一度緩んでしまえば後はそれほど力を入れる必要はなく、簡単にバラすことができた。

 で、気をつけなければならないのはこのレンズの向きらしい。凸レンズが望遠鏡側に向くように取り付けなければ、レデューサーとしての効果はとにかく、コマコレクターとしての効果が出ないそうだ。そこを気をつけるのはいいとして、もう一つ気になったのはレンズの径だ。Tリング(今回はCanon EOS用)の内径はこの49mmクローズアップレンズよりも少し大きくて、紙を2枚ほど巻きつけても良いのでは?というぐらいガタがある。このガタがある状態ではめ込んでしまうと、センターずれが起きるのではないかと思うのだが、そこはあまり考えていなかったこともあり、黒いベルベット調の紙を持っていたので、それを一巻きだけして挿入した。本来はもう少しセンターをきちんとあわせてやる必要があるだろう。

 その上でもともと付いていた押さえリングをはめ込んでできあがり。多少マウント側に押さえリングがはみ出しているが、基本問題なさそうだ。ぱっと見た目は普通のTリングと違いはほぼ無いが、ちゃんとクローズアップレンズが内蔵されている。スマートな感じだ。

掃除してセンターマークを付けて遮光リングを付けた15cmミラー
掃除してセンターマークを付けて遮光リングを付けた15cmミラー。うん、見違えるようだ?
 問題は実際にちゃんとレデューサーコマコレクターとして活用できるかどうかだ。あまりチャンスは無いのだが、ベランダからテスト撮影してみると、周辺減光はかなりあるものの、ちゃんとピントも合って撮影できる。コマコレクターとしての性能は微妙だが、同じ撮影範囲だけを見ればきちんと補正されていると言っていいだろう。価格から言えば十分すぎる性能かもしれない。

 こうして活躍できるようになったのだから、もう少し整備してやらねば、ということで、最初に撮影してたころは実施していなかった主教のツメ隠し遮光リングや、センターマークなどを実施。光軸もそこそこあわせて、撮影鏡としての体裁を整えてやった。まだもう少し色々いじる余地はあるかもしれないが、まずはこの辺でしょう。

 レデューサーとしての機能は、写っている星間の長さから見て、どうやらx0.8ぐらいの大きさになっているようだ。0.8倍のレデューサーということは、今までの直焦点が15cmF5.0、焦点距離750mmだったのが、15cmF4.0、600mmの鏡になるということになる。F4.0であれば、R200SSと同じだ。実は現時点でR200SSはコマコレクターを変更してパラコアを装着しているので、900mmF4.6に伸びている。それを考えるとR200SSより明るいし、焦点距離的にも600mmというのはなかなか良い感じになる。

 実際の撮影&処理には、この周辺減光をなんとかする必要がある。だが、私にはぴんたんさんフラットエイドという力強い見方がいるのだ。フラット撮影をそれほど厳密にしなくても、ご近所フラット撮影をしておけば、後でなんとかなるレベルまで周辺減光は補正できる。被写体や露出時間にもよるが、かなりカバーできるのでこれは楽しい。

3枚モザイクで撮影したM8-M20付近
3枚モザイクで撮影したM8-M20付近。焦点距離も短くなったのでガイドずれも目立ちにくい
 ということで、ジーナさん+R200SSに追加して、SPR-150セットも活躍できる可能性が高まった。2台体制というのは実行面ではかなり負担が大きいのでそうしょっちゅうはできないのだが、少し広い写野が欲しいときは重宝しそうだ。実際、M8とM20を撮影したときは、3枚モザイクではあるものの、こんなのも撮れている。

 とと、忘れていた。どーでもいいかもしれないが、せっかくこうして主力鏡として使えるようになったのだから、名前を付けてやるのもいい。いや名前なんか無くても別にかまわないのだが(実際R200SSは名前は付けていない)、この際なので…と思ったが、なんか丁度良い名前が無い。Webで関連付けられるものが無いかなーと、15cm鏡で検索をかけたところ、なにやら高級そうなブランドがひっかかった。なんでも、コスメティック系のブランドミラーらしい。適切なリンク先が見つからないので、リンクは無しだ(笑)

 ということで、この15cm鏡は「ジェルドン君」と呼ぶことにした。重量的にはR200SSとあんまし変わらないという微妙な存在になるかもしれないが、合成焦点距離が600mmとなり、R200SSの800?900mmという焦点距離より短いため、広い範囲を写すことができる。モザイクを活用するとかなり色々できそうなので、機会があれば少し遊んでみようかと思う。



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