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とりあえず天体写真を再開させた時の基本セット。フォトガイト2に「晴れ丸」
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今日も曇天 最新版

 小学生の頃から慣れ親しんできた天体観測だが、その頃から、「これは一生の趣味になるだろうな」という気はしていた。紆余曲折を経て、未だにあれやこれやと思い悩む天体写真、その顛末を記録してみました。「曇天」なのは、晴れればこのページを書いている暇が無い訳で、曇って星が見えない日に書いているからなんです。


2011年3月14日 直焦点で使える SPR-150S

観測点にて撮影中のSPR-150S  時は2011年1月。EOS 60Dという、ほとんど天体写真専用カメラ?を手に入れてから、一気に天体写真熱が再燃してしまったのでこのSPR-150Sに復活を願ったのだが、問題はそのガイド性能だ。まずは手軽な形でノータッチガイドから始めて見た。口径15cmF5.0なので、焦点距離は750mm。35mm版換算なら1.6倍で1200mm相当だ。そんなのノータッチガイドするってのは正直無謀なのだが、考えてみたら土星や火星を拡大撮影しようとしていたときは、5000mmとか10000mmとかの拡大撮影で最大1分ぐらいのノータッチガイドをやっていたわけだから、そうむちゃくちゃ、というわけでもないかと思う。1分や2分の露出で星雲星団を写し込めるようになったのはデジカメの高感度化のおかげだ。

 とりあえず極軸望遠鏡で北極星を導入する。が、そもそも25年以上も前に製造された赤道儀だ。極軸望遠鏡はしっかりしていても、そこに示される北極星導入目盛は残念ながら現状にマッチしていない。最初に使い始めたころから既に北極星パターンがずれてきている、という意識はあったので、当時に比べると更にずれているはず、ということで「この辺」という辺りに導入するしかない。言うならば、テキトー、だ(^^;

 それでも適当に北を向けているよりは正確に合っているとは思う。1〜2分の露出ではさほど気にならない(と思う)。より正確に合わせるには「ドリフト」と言われるガイドしながらの調整が必要なはずだが、まだ調整の仕方を分かっていないので(そもそも眼視であわせられるのかどうか…)また機会があればチャレンジしてみるということで。むしろ、新しい極軸望遠鏡を購入したほうが早いかもしれない。実は現行品のGP2赤道儀用の極軸望遠鏡が、このSP赤道儀にも合うらしいので、今の合わせ方で問題が大きいようならそっちを導入してみようかと思う。

 で、実際にEOS 60Dで撮影。ISO感度はできるだけ高くしたいので、常用感度域で最大のISO6400だ。拡張感度を使えば12800まで上げられるが、この感度だと数秒の露出でもざらつきがひどかったり、バンドノイズが目立つことが確認できていたので、さすがに使わなかった。1分〜2分の露出なら、ブログに載せる程度ならなんとか使えるレベルのガイド精度になってくれた。驚いたのはさすがのISO6400で、露出2分もかければ淡い系外星雲の形まで描写し始めている。枚数を重ねてS/N比を上げれば結構行けるんじゃないかと勝手に思ってしまう。

思いのほかずいぶんと写ったM45プレアデス。これは行ける、と思った  実は、2011年年初にこの直焦点撮影を少し行ったとき、二日目にガイド撮影にチャレンジしていたのだ。写真の望遠鏡の右下部分にある雲台に晴れ丸を乗っけて、それにGA-2を付けて眼視でガイド。が、結論から言うとガイド撮影はするだけ無駄っぽい気がしたので、元のノータッチガイドに集中することにした。理由としては

1.ガイド鏡を使うのに時間がかかる
  ガイド星を導入して暗視野照明装置GA-2の十字線に入れて、ガイドを始めてシャッターを切って、露出を終了して結果を見てみると…ああっ、構図がずれている。構図を直してガイド星を見てみるとずれているので、またガイド星を導入し直して…  としていると、どんどん時間ばっかりかかって肝心の露出をしている時間がほとんど無いのだ。

2.赤道儀のMD(モータードライブ)コントロールの調子が悪い
 前述の赤緯モーターの接触不良に加えて、赤経モーターもボタンの接触が悪く、増速しようとボタンを押しても反応せず、ぐぐっと押し込んでやっと反応する。こんなんだととても微妙な調整はできない。結果、ガイド精度はあまりあがらないのだ。

3.バランスがすこぶる悪くなる
 ガイド鏡としての晴れ丸は決して重いほうではないが、それでもスーパーポラリス赤道儀にはそこそこの重荷になる。特にサイドに乗せる形をとっているため、意外とバランスが悪いのだ。ヘタにバランスをくずしてしまっているので、逆にガイド精度を悪くしている可能性もある。

4.どうせ2分で飽和する
 実際には感度を落としてもう少し露出時間をかけてやるほうが良さそうな気がするが、そんな長い時間ガイドする自信も根気も失われてしまっているので、どうせ2分程度までなら、ISO6400で撮影する限りすぐに飽和してしまう。それ以上の露出はあまり意味が無いのだ。これなら、ノータッチガイドでもさほど結果はかわらない。

 ということで、色々理由はあるが、ノータッチガイドなら撮影中も他の星を双眼鏡で見ることもできる。いろんな意味で、有意義な方法なのだ。単に手抜きという話もあるが、まさにその通りだ。そうだ。この方式はTNK法と名づけよう。TNK=て・ぬ・き。だ。

ちなみに、「TNK」としたのは理由がある。このネーミングをした当時、ダイハツのCMが流行っていたのだ。そう、アレ。「低・燃・費」を「TNP」としたアレだ。「低燃費」がTNPなら、「てぬき」がTNKでもいいぢゃないか。ということで、TNKとしたわけだ。深い意味は無い(^^;

(YouTubeにあった動画)
http://www.youtube.com/watch?v=5OEDaTQAge4

 ただ、このノータッチガイド精度については実際には結構ばらつきがあって、歩留まりを考えると今のところは2分以上の露出は危険な気配がする。安定しているときは3分ぐらい露出してもあまり変わらない事があるので、焦点距離を200〜300mmぐらいに押さえてやればもっと露出できるのかもしれないが、今の反射望遠鏡では(というか、ニュートン式だと)レデューサーはまず無理。そもそもニュートン反射望遠鏡は筒外の焦点量に余裕が無いので、あれやこれやとアクセサリーを付けるのはムリがある。

 しかも、このSPR-150S、当時としては最新式のスライド接眼部(斜鏡が接眼部とともに前後する)なのだが、接眼部の径が36.4mmネジしか無いため、今や当たり前となっている各種2インチ系のアクセサリー等は全く使えない。接眼部を交換しようにも、そのためには斜鏡ごと変更するか、サポート方法を変更する必要があるため、相当ハードルが上がってしまう。こりゃあ、画質を改善するのはいろんな意味でハードルが高そうだなぁ、と思い始めていた。いっそのこと別の筒を用意するか、とも。しかし、これまでの所カメラ以外の投資は殆ど行っていないと言うものの、そのカメラでそれなりに使ってしまったのでおいそれと追加投資もできない状態だった。

 が、その「追加投資」は、思いのほか早くやってきた…

つづく



2011年3月6日 復活の活躍、か? SPR-150S

ゴミバコフードを付けた15cmF5反射  この望遠鏡、VixenのSPR-150Sを手に入れたのは、既に今から20年近く前になる。が、それも高校時代の友人にフルセットを安く譲ってもらった形だったので、その友人がこの望遠鏡を購入したのは更にその前。したがって、既に発売されてから四半世紀は経っているというシロモノだ。このセットを手に入れる前には、SPR-100Sという、10cmF6の、これまたVixenの望遠鏡のセットを持っていたのだが、赤緯軸のモーターが付いていないなどの違いもあり、2台持っていても使わなかったので今は手放してしまっている。

 四半世紀を経てもとりあえず赤道儀も望遠鏡もなんとか動いてくれているので、最近の高感度デジカメの活躍と相まって、思いのほか大活躍してくれているわけだ。2010年の年末に天体用として新しいカメラを手に入れて、しばらくは晴れ丸とフォトガイド2で色々試していたのだが、もう少ししっかりした望遠鏡で撮影したくなった。久々に続けざまに買った天文ガイドには、RFT-150Sという、15cmF5.0という「屈折」望遠鏡のセットが出ていたりして、大いに心動かされたりした。なんせその辺のGP赤道儀セットが10万円程度で出ているのだ(極望、MDは別だったけど)

 思わずポチってしまいそうになったが、何か頭の片隅に引っかかるものがあった。屈折アクロマートという問題もあったのだが、いやまぁ、EOS 60Dを買ったばっかりだったので、かんたんにポチってしまえる環境ではないってのもあった。が、本当にひっかかっているのはそこじゃなかった。

15cmF5.0なら、持ってるぢゃないか

 あ!。そういえば、ホコリをかぶっているニュートン反射の筒、SPR-150Sは、15cmF5.0のスペックだ。まずはコレで色々試して見て、本当に不満が出てくれば、そのときにまた考えればよいではないか。せっかく持っているものを使わない手は無い。というわけで、年が明けて2011年になってからはこのSPR-150Sに本番復帰してもらったわけだ。

 15cmF5.0というスペックは今でも全く見劣りするものではなくて、自分にとってはとりあえずこれで十分というレベルだ。久々に眼視で見るM42は翼を大きく広げていてため息が出るし、簡易的に60Dで撮影してみた高感度画像は、かなり使えそうな感じだった。

 上に乗っている筒も重要だが、眼視だけでなく、写真撮影をしようとすると、やはりポイントは赤道儀になる。この赤道儀、赤緯・赤経モーターが付いていて、譲り受けた当初はガイド鏡も使ってガイド撮影も結構やっていた。もっとも、その頃から赤緯側の微動はバックラッシュが結構あって、かなり苦労した記憶はある。

 久しぶりに動かして見たのだが、前回チャレンジしているのは2007年の月食の時ぐらいだから、本当に4年ぶりぐらいだろうか。その頃もガイド撮影をしているわけではないので、赤緯モーターってのはあんまし(というか全然)使っていなかった。それが原因というわけでもないのだろうが、久々に電源を入れて、色々使って見ると、ありゃ、赤緯モーターがまともに回らない。赤経モーターはちゃんと動くのだが、赤緯モーターを動かしたとたん「ギチギチギチ」と、少し大きめの音を立てるだけで動かないのだ。何度か試していると、今度は全く音がしなくなってしまった。壊れてしまったわけではないようで、しばらくしてまた使って見ると同じような症状になる。

 こりゃあ、ガイド撮影はムリだなぁ、と思いつつ、色々試して見た。2軸コントローラーの方がやられていればアウトだが、なんでもコネクタ近辺の接触が悪いことが多いという話も見たので、コネクタを押したり引いたりしながら動かして見た

!!!

 動くぢゃん。コネクタをぐぐっと押し込んでやると、ちゃんと普通に動く。なんのことはない、コネクタの接触不良だ。が、多少抜き差しして接点を磨いたぐらいで落ち着くようなレベルではないようで、コネクタを針金でぐるぐる巻きにしてモーターにぎっちりくっつけてやって、なんとか動くレベル。それでも少したるみが出ると、すぐに駄々をこねてしまう。こりゃあ、コネクタそのものをなんとかせにゃあダメかな、というレベルだ。


というわけで、実写についてはまた自戒。いえ、次回


2011年2月19日 小型な赤道儀フォトガイド2

これまた学生時代からのつきあいだけど…  ポータブルな鏡筒「晴れ丸」にマッチングする赤道儀が、このフォトガイド2である。元々学生時代に自転車で運搬できる撮影セットを構築するために購入したものだが、それが丁度「晴れ丸」にマッチングしているというのが正解かもしれない。本当はこのフォトガイド2の前、フォトガイドセットに付属していた三脚(かなり小型でシンプル)が欲しかったのだが、残念ながら既に代替わりしていたためこのセットになった。この三脚はベースがスーパーポラリスの三脚とほぼ同じだったので作りやすいのか、2011年現時点でもポタ赤の三脚はこれに似たタイプになっている。

 今回はちょいとずれた話ばっかりなのだが、実はこのフォトガイド2、既に取扱説明書も何も無い(紛失)。確かたいした説明書らしきものも無かったとは思うが…。それでもって、本体にロゴも何も無いので、製品名としての「フォトガイド2」もホントにそうだったかなぁ、と少し不安になってしまった。インターネットで調べれば、フォトガイド2の本体写真ぐらいゴロゴロしてるだろう、と思ったのだが、ビクセンのホームページは元より、どこにも写真が見当たらない…いや、多分間違いない、と思われる情報もあるのでそうだとは思うが、本当にコレ、フォトガイド2なんだろうか(ヲイ

 ポタ赤なので専用のキャリングバッグとかがあれば便利なはずなのだが、当時は(今も…だが)専用のキャリングバッグを買うほどの余裕は無い。何か良いものは無いか、と探してみたところ、前述の「晴れ丸」には実はキャリングケースが付属していたのだが、デスクトップ経緯台の架台が使いにくいとか色々あり、ほとんど使っていなかった。中身は発泡スチロールに取っ手をつけたようなものなのだが、少し削ってみると、なんとかフォトガイド2の本体と、ばらした三脚が(多少はみ出すが)入ってしまった。普段はこの形で出撃するには片付けや組み立てに時間がかかるため、どこかに片付けてしまったり、長距離運搬するときだけにはなるが、結構コンパクトになるのは便利は便利。

 ちなみに、「晴れ丸」はシューズ袋の内側にクッションを貼り付けて、それをケースとして使っている。これだとあまり上に物を置いたりはできないのだが、そもそも鏡筒はそんなに乱暴に扱えないので、まぁこんなもんだ。

ダイソーで買った300円のラチェット六角レンチ。かなり便利  肝心のフォトガイド2の使い勝手だが、三脚が結構しっかりしているものの、組んだまま運搬すると意外と脚の接続部分がゆるんだりする。その辺はある程度仕方ないのだが、車で運んでいると目的地に着くたびにネジを締めなおして確認するのが面倒なので、最近ダイソーにてラチェットドライバーを導入した。さすがに100円では無くて300円だが、それでもグリップ部分に数種類の六角レンチが内蔵されていて、ラチェット機構まで付いている。Vixenの望遠鏡にはあっちこっちに六角ネジが使われているので、一つ持っていると相当に便利に使える。

 ガイド精度はあまり考えたことは無かったのだが、適正な重量のものを乗せる範囲に置いては、スーパーポラリス赤道儀とあまり変わらない様な、しっかりした精度を出してくれるような気がしている。その昔、学生時代にフィルム撮影をしている頃は、このフォトガイド2と晴れ丸、そして更に小さな50mmのガイド鏡にGA-2を付けて自転車にて出撃。アパートから10kmほど離れた星が見える場所まで出掛けて、ガイド撮影をしていた。今思えば、よくやったもんだ

その昔、フィルムで撮影したM42。固定撮影を併用できるのはフィルムならでは  当時は、長時間撮影をするため、ガイド撮影が必須だった。しかも、ポタ赤なので赤経方向のガイド修正しかできない。時間とともに赤緯方向もずれてくるので、それをなんとかしなければならないのだけど、そんな微動装置は付いていない。結果、思いついたのは架台そのものを全部動かして修正する、という方法だ。今は使っていないが、当時は水平を出すためのベース(かまぼこ板にちょうつがいを付けた超手作りなモノ)を用意してあり、これを北極側の脚の下にセット。赤緯方向のズレが出た場合は、それを調整することで修正していたのだ。作例のM42を撮影した時は確かそんなこともしていたと思うが、当時はとにかく何とかしようと色々工夫していたものだ。

 閑話休題。この赤道儀、ウォームホイルは確か歯数も144で通常のスーパーポラリス等と同じで、モータードライブも同じものが使われていることもあって、そのコントローラーなんかも共用できる。いろんな意味で応用が利くし、とにかく便利なんだが、社会人になって普通に車が使えるようになるとスーパーポラリスを運ぶのにもさほど苦労しなくなって、あまり使われなくなった時期も多い。それでもこのコンパクトさは手放しがたく、まだしっかり動いてくれるので、これまた当面は多方面に活躍してもらうつもりだ。とりあえず、スーパーポラリス側で放置撮影ができるようになったら、こちらに望遠レンズを乗せて本来の仕事、星野写真を同時に撮影してみたい。



2011年2月5日 通称「晴れ丸」

かなり長い付き合いになる「晴れ丸」在りし日のフリーストップ経緯台。モワモワしてるのはフィルムに生えたカビ(^^;  今持っている機材の中で、アイピースを除けば一番古い機材が、この「晴れ丸」だ。本来はViexnの「HALLEY MULTI 70S」という名称の口径70mm、焦点距離400mm(F5.7)の小型短焦点屈折経緯台(デスクトップフリーストップ式)望遠鏡だった。だった、というのは、下半分のフリーストップ経緯台については、20年ほど前に確か後輩に売り払ってしまったからだ。

「ハレーマルチ70S」なので、縮めて「はれまる」、で、縁起が良いように「晴れ丸」と呼んでいる訳だ。私自身が雨男で、少しでも打ち消して空が眺められますようにというお祈りの名前でもある。

 購入したのはハレー彗星がやってきた頃だから、1985年ぐらいかな。当時はハレー彗星関係の名前が付いた望遠鏡がやったらめったら出ていた。カラーリングも今見てもなんか変なオレンジなのだが、当時はこんなオレンジの筒や黄色い筒が出てて、変な感じがしたものだ。

 で、結局四半世紀ほど経っているし、一時期は確かカビの攻撃にも遭ったかと思うが、普通に星を眺める分には変わらぬ性能を見せてくれる。微動装置も健在だ。この筒が出た頃は、まだガイド鏡の微動装置というものが無く、この製品についているスプリング+押しネジの微動装置というのは非常に使いやすいガイド鏡微動装置だ!と天文ガイドに載っていたのを見て、当時10cmF6の反射望遠鏡で天体写真を撮影したかった私は、とにかくガイド鏡としてこの「晴れ丸」が欲しくてしょうがなかったわけだ。

 購入当初はそのフリーストップ経緯台を少し使っていたのだが、いかんせん「デスクトップ」で、全高が50cmぐらいしか無いので、普通に外では使えない。(写真では分からないが、ピラーの下の黒い部分から3本の棒がほぼ水平に出て、その先にゴム球がある形だった)その辺はメーカーも分かっているようで、この経緯台のピラー下にはカメラネジ穴があって、普通のカメラ三脚の上に設置できるようになっていた。カメラ三脚もそれなりの強度が必要になるが、学生時代はそんな丈夫なものを持っていなかったので、写真のようにアングルを木のベースに付けて専用の三脚を作っていたりした。これなら全高1.2mぐらいになるので、便利に使えたわけだ。なお、経緯台が写っている写真に見える「モワモワ」は、この経緯台の幽霊…ではなくて、当時のフィルムにカビが生えてしまった結果。たはは。

厚紙を丸めて、輪ゴムの摩擦で固定しているだけの簡単フード。でも効果あり!  筒の固定については、このページのトップの写真を見てもらえれば、固定をスリックのバル自由雲台で行っているので分かると思うのだが、微動装置の下に、カメラネジ穴が付いているので、普通に雲台に固定できる。特別な固定装置が要らないのが便利なのだが、その分固定はいまひとつで、横向きにつけたりすると相当不安定になってしまったりする。ガイド鏡としてはいまひとつ強度と精度に問題がある…かもしれない。あとは、よーく見てもらえると分かるのだが、XY方向に押しネジの微動があって、その反対側にはスプリングを納めたシリンダーが突き出している。1本は下向きについているので、少しでも雲台の大きい三脚だと、このシリンダーが邪魔になって付かない場合がある。なかなか難しい。

 その後もガイド鏡としても活躍してくれたのだが、どちらかというと、本来の目的、ポータブルな望遠鏡としてもずいぶん活躍してくれたし、今でも活躍してくれている。元々アクロマートなので写真撮影には向かないのだが、短焦点の分明るかったり、星が大きくボケてくれる分、明るい星雲や星団は目立って写ってくれるので素人受けは良かったりする。また、屈折なので惑星等は思いのほかしっかり見えることもあり、観望会なんかでも意外と活躍してくれている。

 本来付属のフードは無いに等しい(長さ2cmぐらい…)ので、手頃なフードを作ってやろうと画策していたのだが、大きさ合わせのために試しに作って見た厚紙フードが思いのほかフィット…というかなんとか使えているので、そのまま使っている(^^;。少し余裕を持たせた作りにしてあるのだが、鏡筒(本体フード)の上に輪ゴムを付け、その上にフードををかませるようにはさむ(筒とフードの間に、輪ゴムがある形)固定される程度にしてあるので、輪ゴム一本でフードを出したり引っ込めたりできる。これは意外と便利。

 ドロチューブは昔の望遠鏡よろしく36.4mm径なので、直焦点撮影をしようと、36.4mmの延長チューブをかませると、少なくともフィルムだと画面周辺が盛大にケラれる。今のAPS-Cのサイズでは試していないのでもしかしたらうまく行くかもしれないが、このケラレはちょっと…ということで、その昔から、カメラアダプターをつける時は拡大撮影用の筒を直焦点用の3本ネジで無理やり固定して、その先にカメラを付けている。これだと36.4mmの延長チューブよりはるかに大きいのでケラれることが無いのだ。

直焦点撮影のアダプターは少々アクロバティックな接続  今はカメラの進歩もあって高感度で数分の撮影をしているが、20年ほど前はフィルムしか無かったので長時間撮影を余儀なくされた。そんときはフォトガイド2のウェイト側に更に小型の望遠鏡をセットし、そちらでガイドしながら晴れ丸で撮影をしたこともあった。古き良き(いや、良かった…か?)時代であった…

 ということで、現状の撮影コンセプト(TNK=手抜き撮影!)から言えば、ガイド撮影用としてこの筒が活躍する可能性は低いのだが、ちょっとした観測等にまだまだ活躍してくれそうな筒でもある。まだもうしばらくは、がんばってもらいたい。




2011年1月30日 復活を告げる冬

久々のデジカメによる本格的な天体写真にチャレンジ。必要なものは、空と機材とソフトウェア  時は少しさかのぼって2009年年末。天体写真の復活はこの辺がひとつの区切りになっていたと思う。以前からデジカメによる天体写真は色々試していたのだけど、なかなか条件が揃わなかった。面倒なのであんまし考えていなかったこともあるが、今になって考えると、3つの条件が揃わなかったからだと考えている

 一つは星空。なるべく暗い星空が必要なのだが、どこまでを要求するかは状況によって変わってくるとは思う。実はこの年、転勤があって鹿児島に来て、そこの星空が想像以上に綺麗だったということがある。冬の天の川が当たり前のように見える。そんな澄んだ空があって、星を見ない手は無い。なんとかしたいということになった。

 二つ目は機材。一番大きかったのは撮影のためのカメラだ。天体写真をやるといっても、冷却CCDカメラを買えるほどの余裕や興味も無く、基本は一眼レフカメラを使っての撮影となる。色々興味もあってここのところEOSからOLYMPUSにカメラシステムを変更してきたのだが、実はOLYMPUSの一眼レフは、あまり天体写真向きではない。高感度長時間の露出ではノイズが多めになるし、なにより赤い赤外領域がほとんど写らない。更に、E-3までのカメラでは、バンドノイズが激しくて高感度撮影がまともに撮影できなかった。が、その後導入したE-620は比較的この辺が改善されていて、少なくともバンドノイズは落ち着いていた。ま、その後更にEOS カムバックという秘密兵器の導入がなされるのだが。

 そして3つ目はソフト。この辺はまだこれから、という点が多いのだが、とりあえずRAWデータを使ってダークノイズを除去できて、更に画像合成ができるYIMGというフリーソフトの存在を知って、劇的なノイズ処理ができるようになった。特にE-620にとっては無くてはならないダークノイズ除去が重要で、これでE-SYSTEMの天体写真がまともになった、と言ってもいいだろう。この他にもPaint Shop Pro(Ver.X3ではPaint Shop Photo)で色々加工できるようになったり、RAW現像ソフトでの調整など、色々ソフトウェア面での向上(ほとんどは、自分が使えるかどうか、というものだけどね)が大きかった。

 天体写真を本格的に再開してみようと思ったのは、やはり星空が一番大きいのだが、そこにカメラの進歩とソフトが使えるようになったというのがタイミングよくやってきて、少しずつ天体写真を再開するようになってきた。まずは、年賀状用の撮影ということで「晴れ丸」ハレーマルチ70Sを使っての直焦点撮影を開始した。

 写真のオリオン座大星雲は、E-620、ISO1600で晴れ丸を使って120秒撮影し、ダークのイズ処理を行った後4枚を合成して後は画像処理ソフトでコントラストや彩度を調整したもの。星仲間関係には年賀状として遅らせてもらった。縮小しているのでいまひとつ分からないかもしれないが、ノイズはずいぶんと押さえられて、星雲の色はそこそこ出ている。ただ残念ながら赤外の感度がほとんど無いため、赤い部分の写りはいまひとつ。晴れ丸は70mmF5.6の短焦点アクロマートなので、色収差もかなりあり、課題はたっぷりである。



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